亡き夫ジャック・ドゥミに敬意を表して、映画のクリップやアーカイブ映像、ドゥミへのインタビュー映像、そして出演者や関係者へのインタビューを織り交ぜながら、ジャック・ドゥミの人生と芸術的遺産を振り返る、アニエス・ヴァルダ監督によるドキュメンタリー映画。

アニエス・ヴァルダは、本作の4年前である1991年にも、『ジャック・ドゥミの少年期』というジャック・ドゥミをテーマとした映画を撮っている。この映画は、ジャック・ドゥミの死期が近いときに、彼の映画に対する想いを何とかして残しておかなければ、という切羽詰まった気持ちで撮ったような作品であるが、本作では、客観的な目線からジャック・ドゥミの業績を落ち着いて表現している。

ジャック・ドゥミのほぼ全ての作品が言及されているし、それらの映像も流されるので、ジャック・ドゥミのファンにとっては必見。アヌーク・エーメ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャンヌ・モロー、ダニエル・ダリュー、ミシェル・ピコリ、フランソワーズ・ファビアンなど、ドゥミ作品に出演した俳優たち、そしてドゥミ作品には欠かすことのできないミシェル・ルグランへのインタビューも見どころだろう。

・ドゥミ作品としてはどちらかというとマイナーだと思う『ロバと王女』がかなり大きく扱われているのはなぜだろうと思ったが、フランス国内ではドゥミ作品の中で最大の興行成績をあげたとして納得。

・ハリソン・フォードがなぜ出てくるのかと思ったら、『モデル・ショップ』の主役として当初は想定されていたとか。知らなかった。