垂直落下式サミング

65/シックスティ・ファイブの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
遠い昔、遥か彼方の銀河系で…系の世界観。こんなの本来だったら、この予算の十分の一くらいのバジェットで作られるべき作品のはずなんだけど、アダム・ドライバーが出ているから、それなりの保証はされてんでしょうってことで鑑賞してきました。
思わぬ拾い物とまではいかないけど、けっこう面白かった。有名俳優が出ているから、画面に退屈することはなくて、特に取り立ててダメってところもない。
最初のほうは、巨大生物の脅威をみせる工夫がしっかりとある。喉がなる息遣い、ビリビリと水か揺れて、地響きが…と段階を踏んで小出しにしてくるなど、ジュラシックパークシリーズがアクション化していくなかで失ってしまったものを律儀にやろうとしているのは好感がもてるところだった。
けれど、太古の地球で超宇宙サバイバルという設定の都合上それも序盤だけで、チャージ式光線銃みたいなSF兵器で武装したドライバー氏は、古代の生物たちと対等以上に渡り合うほど。シューティングゲームの主人公のような腕前をお持ちのようだ。襲いかかってくるものを、事も無げに片っ端から狩りまくっている。
主人公が冷静で、武器がそこそこハイテクで揃ってて、対処できる程度の生命体が敵とか、こんなん、サバイバルとしてのスリリングさは薄まるしかない。もうちょっとハードモードでイジワルな設定でもいいのよ。
とりあえず、人間が恐竜に食われる描写がないのが致命的。他の乗組員の死因は主に墜落のせいで、冷凍睡眠中に事故で意識がないままに装置から投げ出されるとか、それはそれで残酷な死にざまだけれど、何人か捕食要員は必要だったと思う。
いきなり主人公と女の子しか残ってないとか、もう、どっちかが途中で退場とかあり得ないわけで、もう作劇上のセーフティラインに守られてる。上映時間90分は正しい判断だと思う。
とんがった三角みたいな宇宙船のデザインはちょっとレトロで、サンダーバードとか円谷プロの昭和みがあって、ここ数年のSF作品のなかで一番好きでした。