コバヤシ

シングルマンのコバヤシのレビュー・感想・評価

シングルマン(2009年製作の映画)
4.2
表現の一貫性が芸術的でありながら大衆的たらしめる。消費者と製作者のすり合わせを他の映画と比べ、一際強く感じた。さすがはファッションデザイナーというべきか。

苦しい時間が淡い色調に統一され、生の執着と色が強く結びついている。色の鮮やかさとは即ち美しさでありジョージには生きる魅力で、心象を画面そのもので表現している試みが面白い。

作品中現れる香りや、記憶は海原に差す光芒宜しくその場限りしか照らすことはできない。つまり瞬間の喜びは愛の代替にはなり得ず、結局愛の代替は愛でしか成しえないのだ。最も色鮮やかに描かれているシーンは画面が黒で一杯に埋め尽くされており、過去の払拭、精算の象徴にも感じられた。
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