常盤しのぶ

キャッシュトラックの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

キャッシュトラック(2021年製作の映画)
3.5
パトリック・ヒル? 贅沢な名だね。今日からお前の名は”H”だよ。わかったら返事をしな、H!! というわけでHなステイサムが主人公のクライム・アクション。

ガイ・リッチーだからアクション多めかなと思っていたがそうでもなかった。入社試験時の微妙な射撃を見せられてから最初の輸送車襲撃での見事な1ショットキルゥは実にビューリフォー…。

結局のところ本作は復讐劇である。目的は単純なのに妙に登場人物・グループが多いため、相関図か何かを調べてからの方が頭に入りやすい。とはいえ、そこまでせずともややこしい話は話半分に流してもらって特に問題はない。どうせステイサムが勝つし。あれ、ちょっとヤバいのでは? と思っても結局ステイサムが勝つ。何故ならステイサムだから。

冒頭の現金輸送車襲撃事件は伊坂幸太郎みたいな群像劇の趣があって大変良き。様々な角度から見ることによって事件の全貌が見えてくる。ところで、復讐の原因を作ったのは完全に外部の組織ってことでいいのかしら? 観終わった後になってもよくわからない。やっぱり相関図いる。

前半でフラストレーションを溜めていって終盤で一気に解放してほしかったが、個人的には今ひとつ乗り切ることができなかった。あ、人はバンバン死ぬ。そこは楽しい。アクションを求めて本作を観ると肩透かしを食らうかもしれない。スーツでバッチリキマっているステイサムを観たい時にオススメ。

1億ドルもの現金を見るとやっぱり人は狂うよね、ということで襲撃グループは襲撃グループらしく仲間割れして瓦解。そして最後の生き残りはものの見事に豪遊した果てにステイサムに殺される。……う〜ん、シティハンター並にわかりやすい終わり方。途中がよくわからなくても『まぁステイサムが勝つんやろ』と思っていればある程度安心して観られるのは非常に助かる。