イーグル

オクトパスの神秘: 海の賢者は語るのイーグルのレビュー・感想・評価

5.0
ふわっとお酒飲みながら綺麗な映像でも見るかーで、みてはいけない作品だった。思うに、メインビジュアルとロゴの感じが誤解を招くのでは?
(海洋生物を追う科学的なドキュメンタリーな仕上がり)

仕事でプレッシャーがかかりすぎて潰れそうになった主人公が、南アフリカのケルプ(藻)が茂る「水中の森」で営まれる自然の営みに徐々に心を癒されていく所から始まって、とある1匹の野生のタコに心を惹かれる主人公な話。

■圧倒的に綺麗なビジュアルと色彩
自然界こそ「美」の頂点だと考えている。
本当に森かのように存在するケルプと、鮮やかな魚や生物の組み合わせが幻想的なんだけど自然で(当たり前だけど)気持ちよさしかなかった。

■海洋生物の「眼」にフォーカスするカメラ
タコやサメ、エビの感情が露になっているであろう場面で「眼」にグッと寄った構図。だんだんその「眼」に感情が見えてくるから不思議だった。
アニメーションじゃないんだから、海洋生物の眼が怒ると釣り上がる、なんてことはないはずなのに。
凡人だったらビビってしまう位の間「眼」にフォーカスする時間が長いんだけど、何も変化はないはずなのに後半になってくるとそこに感情が読み取れるのがとても不思議かつ面白かった。

■編集が天才
映像美もさることながら、音楽と編集の素晴らしさ。
主人公のやってる事は単調(毎日海に潜る、語る)なのに、飽きさせない構成。またパラレルで主人公と息子や、タコが魚と遊んでいるのはエピソードが本筋の間に入ってくるんだけど、それがとても自然。
単調なのに感動できる、わかりやすい構成になっていてとってもよかった。

■主人公と現代人
極限状態の仕事、迫り来る危険。主人公は本来好きであったカメラや機材に目を向けられなくなる極限状態に陥いる。その姿はまるで、現代に生きる私たち社会人のよう。

タコのように自然に生きて、子孫を残して死んでいくというシンプルな生き様に憧れてしまう。
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