theocats

映画 太陽の子のtheocatsのレビュー・感想・評価

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
3.4
太平洋戦争も戦局悪化となった1944年から翌年敗戦まで、京都大学にて開発実験をされていた「原子核爆弾」。
その研究に携わっていた学生とその家族、及び幼馴染の女子を軸とし、戦争の虚しさと、先進科学の意義を問う映画。

結論から言えばまずまずというところ。
セット、VFX、演出など配慮が行き届いている印象は受けたが、戦局悪化からの原爆開発の切迫感・ひっ迫感・焦燥感などは殆ど肌感覚として伝わっては来なかった。
監督さんは間違いなく戦後世代だろうし、やはり当時の空気感まで演出するのは難しいのだろうなと思う。それはどの監督の映画であっても同様であり不満に感ずるところ。
戦争経験者の監督作品はそこが決定的に違う。

それでも日本の原爆開発のあらましを再現映像で見られた事には感謝したい。
驚いたのがウラン粉末を入手する手段。焼き物の色付けに使われているウランを横流ししてもらっていたことに唖然となる。
まさか食器に使われていたとは思いたくないが、うーん、どうだったのだろう・・・

一つ怪訝に思ったのが、敗戦後の学生とアインシュタインの架空の会話。
科学の意義に疑問を投げかける学生に対し、アインシュタインは原爆も科学発展の一過程に過ぎず、科学は人間を超えるなどと「科学至上主義」的な発言をしていたが、アインシュタインは原爆とその爆発・結果に心を痛めていたというような情報しか知らなかったので、かなり違和感を抱いてしまった。
それについてはこの後にでも調べたい。
theocats

theocats