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リル・バック ストリートから世界へのbennoのレビュー・感想・評価

3.8
『ダンスがあったから…
ギャングにならなかった…』

私がリル・バックを知ったのは…ルイ・ヴィトンのPV…強烈な印象が残っていましたが、彼のドキュメンタリーがあるのを知ってからは、なかなか観るチャンスに恵まれず…漸く念願が叶いました…。

全米有数の犯罪多発地域…テネシー州メンフィス…地元発祥のストリート・ダンス《メンフィス・ジューキン》 が地域に根付き、少年少女たちは地元のローラースケート場《クリスタル・パレス》で日々踊り明かしていました…。

《ジューキン》とは見るからにマイケル・ジャクソンのムーン・ウォークのように足を滑らせ、特に爪先立ちをするのが特徴的なヒップホップ系ダンスです…(下にリンクを貼りました…是非ෆ*)

この辺りの子供達は自分のことは自分でしなければならないのは当たり前…親は無関心だと言います…そんな状況なので親の代わりにギャングがのさばり…子供達は家族よりもギャングの方が自分達を愛してくれると思うのです…。

そんな彼らを犯罪や危険から遠ざけてくれたのが《ジューキン》というダンス…彼らは口を揃えて「刑務所に行かなくて済んだ」と言います…。

リルの幼少期はシカゴで育ちDVの父親に苦しめられる日々…人よりも自信があったわけではないが、ただ心だけは誰よりもタフだった…そうならざるを得なかった…と言います…。

その後彼は16歳で《ニュー・バレエ・アンサンブル》の奨学金制度に飛びつきバレエのレッスン生となります…そしてひとつのダンススタイルに縛られる必要はないと知ります…。

バレエダンサーはまるでプログラミングされたように1日たりとも稽古を休みません…彼も日々《ジューキン》の練習を繰り返します…血だらけになっても、爪が剥がれて、スニーカーは1週間で履き潰し…お陰でどんどん爪先は強く硬くなり痛みを感じなくなったそうです…。

そして本格的にプロのダンサーを目指しカリフォルニアへ…ナタリー・ポートマンの旦那様で元パリ・オペラ座芸術監督の振付師バンジャマン・ミルピエはリルの才能をいち早く察知…。

そんな時…ある人物がリルに会いたがっていると言う連絡が…。

  世界的チェリストのヨー・ヨー・マ…。

リルは彼のことが分からず、すぐさま検索…ビビったそうです ꒰笑꒱

そしてリルとヨー・ヨー・マのコラボ《ジューキン》とバレエを融合させ、名曲サン・サーンスの『白鳥』(瀕死の白鳥)を披露…そのビデオを映画監督スパイク・ジョーンズが撮り、瞬く間にリルは世界中に認知されることになります…。


浮遊感のあるムーブもさることながら…流れる音楽の意味を教えてくれるダンスに更に釘付けです…ෆ*


Lil Buck 《Jookin》in vogue

https://youtu.be/FiWZWRDIUD0?si=pqm-95iaTsi4yHCv
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