Violet

シカゴ7裁判のVioletのネタバレレビュー・内容・結末

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

The whole world is watching !!!!

シカゴ裁判で起訴された7人は共に反戦・反差別を訴える者たちであっが、彼らの思想や行動はさまざまであった。そんな彼らが最後に見せる「結束」に心を鷲掴みにされた!

目的は同じはずなのに、特にトムとアビーはあからさまな敵対意識を持ち、映画後半までお互いを罵る姿勢が目立っていた。

それが一転するのがOur (所有代名詞)のくだり。トムとアビーがお互いを認め合うようになる描写に心を揺さぶられる。

自分たちが何のために戦っているのか忘れないようにとベトナム戦争の戦死者をリストにしていたレニー。
方法は違えど、思想は違えど、彼らは確かに同じ目的のために戦っていた。
彼の記した戦死者リストによりそれを全員が認識し、7人の心は確かに繋がったのだ。
最大級の感動と余韻を残す素晴らしいラストだと思う。

そしてもう1人起訴されたのがBlack Pantherのボビー・シール。裁判中、目に余る人種差別を受けたボビーを見て、2020年のGeorge Floyd 殺害事件とそれによるBlack Lives Matterの活動を思い浮かべた人は少なくないのではないか。
過去から何も変わっていないのではないかと、作品を通してずっしりとした重圧と共に思い知らされる。

If OUR blood is gonna flow, then let it flow all over the city.
That means, if they (cops) gonna beat us up, everyone should see it.
このセリフもまさにGeorge Floydの事件を思い出す。
The whole world is watching !!!!
たしかに、世界は見ていた。
この悲劇を繰り返さないために、「バーの中の人間」にならないために、私には何ができるのだろうか。

史実を通して現代においても尚続く差別問題の闇の深さを痛感した。

▼それぞれの団体
•Students for Democratic Society (SDS)
トムやレニーが所属。
平和的な活動を介して反戦を訴える姿勢を取っていた。
•Youth International Party (YIP)
アビーやジェリーが所属。
基本は平和的な考えだが、場合によっては暴力も辞さないという姿勢を見せていた。
•Black Panther
ボビーが所属。
もう少し過激な思考。警察が暴力を行使するならばそれに対抗するという考えであった。
Violet

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