けんいち

サン・セバスチャンへ、ようこそのけんいちのレビュー・感想・評価

3.5
今年89歳になるウディ・アレンが85歳で撮った作品。ちなみにウディさんは本作の次の作品を昨年すでに完成させている。

まったくタフな爺さんです。
本作はそんなウディさんの強靭な内面を例によって微塵も感じさせない、軽やかで冗談めかした老境独白映画です。

別にめちゃくちゃ面白い映画では無いですが、最近のクリント・イーストウッド作品に付き合うのと同じような楽しさがあります。
二人に共通するのは無類の女好きってことですかね。

ハゲでチビで無駄にインテリのユダヤ人のおっさんが存在とは何かとか呟いたり、美女に出会ってデレデレしたり、小さな失望や細やかな喜びを淡白に描いていく映画です。

ウディ・アレンは自身が映画狂であることが作品作りの大きなテーマで、本作でも過去の巨匠たちのパロディがたくさん出てくるんですが、これがめっちゃ雑なんですよね😅
最初にオーソン・ウェルズのあの超有名作を下敷きにしたシーンが出てきた時、その雑さ加減に、えっこれでいいの!とびっくりしました(⁠・⁠o⁠・⁠;⁠)

ウディ・アレンはもう笑いを作り込むのに興味がないのかなと…「マンハッタン殺人ミステリー」みたいなウディさんのドタバタコメディが大好きな私は少し寂しい気持ちになりましたね。