まーし

いつかの君にもわかることのまーしのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
5.0
33歳のジョンは幼い息子のマイケルと暮すシングルファーザー。しかしジョンは不治の病を患っており、余命わずか。自分が居なくなった後のジョンを里親を探し続けるが・・・的なお話。

友人から強くオススメされた一本。
あらすじから死ぬほど重たくて、自分と息子と重ねられる年齢で、観たら絶対落ち込むだろうなぁと思ったけど、意外と前向きになれる映画でした。まぁめちゃくちゃ辛いけどね!何度も二人が夢に出ましたわ!

余命わずかなジョン。彼の視点に立つと息子との一瞬一瞬が本当にかけがえなくて、ただいっしょに道を歩くシーンだけで涙が出そうになるのに、ジョンが街行く子どもたちの姿を見ているときの心境を考えると胸が痛いほど締め付けられた。ジョンは愛するマイケルの成長を見届けられないんだな・・・。ジョンとマイケルの関係がめちゃくちゃ良いから余計つらい!神様なんでこの二人にこんな試練を・・・なんて本気で思った。

里親を探していく上で、いろんな人と会って話していくんだけど、どの親もそれぞれの教育指針や正義があって、誰が正しい・正しくないとは言えないよな、と諭される。いわゆる昭和的な、時代錯誤な教育でもその人の成功体験や受けてきた教育を思うと否定はできない。ただそんな正解のない問題の中に、自分の愛する息子の一生を託さないといけないジョンの心情よ・・・。こればっかりは自分に置き換えて考えたくなかった。それほどつらい。

だけどそれだけ辛いからこそ、今のこの時間を大切にしなきゃな、絶対に死ねないな、と帯を締め直す思いにしてもらえた。つらさで言うと『チョコレートドーナツ』とか『ライフイズビューティフル』に似たものがあるけど、それらの不条理とかどうしようもなさとは別のものの映画だと思う。

あと、ジョンは死を目前にしたから息子の人生に大きく影響する良い里親を探しているけど、元来私たち親ってそれだけ子どもたちの人生に影響を与えてるってことだよね。
私もジョンと同じ立場になったら同じくらい必死に里親探しするだろうけど、死を感じなくともそれくらいの覚悟を持って子育てしたいな。やっぱりそう言う意味でも前向きな映画。

気合はいるけど、パパママには是非観て欲しい一本。まだ3月だけど2024年のベストムービー。
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