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ミッドナイト・スカイのsymaxのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)
3.6
…もはや、人類は滅びようとしていました…

沈黙が支配する北極圏のバーボー天文台に一人残ったオーガスティン博士。

たった一人だけのはずなのに、天文台に取り残された物言わぬ謎の少女アイリスと出会い、奇妙な共同生活が始まります。

一方、ミッションを終え、地球への帰還途中である木星探索船"アイテル"号。

サリー達宇宙船のクルーは、地球からの通信が途絶えた事に不安を抱きつつも、各々が帰還までの時間を船内で過ごしていたところに、思いもよらぬ事故にぶち当たり、未曾有の危機に陥ります。

地上では、オーガスティンが自らに残された時間が少ない中、帰還中のアイテル号に真実を話し、地球への帰還を阻止する為、より強力なアンテナが存在する観測所へ移動し、アイテル号との通信を試みるのです…

ジョージ・クルーニーが、Netflixと組み、製作・監督そして主演した作品ですが、配信前の限定公開という事で、全くの前情報無しでの鑑賞。

地上パートと宇宙船パートを交互に見せ、登場人物が選ぶそれぞれの"選択"を魅せる作品だと感じました。

オーガスティンは、天文台で孤独であることもありますが、これまでの人生で自らが選んできた"選択"を振り返りつつ、最後の大きな"選択"を成功させる為に行動を起こし、ある境地に到達します。

一方、宇宙船のクルー達は、絶望を目の当たりにした上でそれぞれの思惑に基づき"選択"していき、選んだ"選択"は、見ている者に深い余韻を残します。

そもそも、人類の誤った"選択"故に起こってしまった現実なので、非常に複雑な心境になりますが、どの"選択"も身につまされ、単なる終末もののSFでは収まらない奥深さを感じました。

宇宙船の造形の美しさは勿論、銀河の姿や荒涼とした北極圏の美しさ等、大画面で見れたのは良かったです。

船外活動のハラハラ感は半端なかったです。

配信でスマホやテレビ等の小さな画面で見るのはもったいない気がします。

ジョージ・クルーニーは、髭ボーボーでヤケにジィさんジィさんしてるのはビックリですが、要所要所で、彼らしい茶目っ気たっぷりな部分があるのは面白いです。

特に、アイリスと出会ってからの場面は、重い中でもホンワカとして…アイリスとの"豆戦争"のシーンは、ジョージ・クルーニーらしい演出だと思います。

宇宙船パートの主役は、フェリシティ・ジョーンズなんですが、正直パッとしないなぁ、なんて印象でしたが、物語が進む内に、哀愁漂う演技になり流石でした。

鑑賞後の余韻は独特のものがあり、画の迫力と共に、劇場で見れて良かったなぁと思いました。
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