ボルティ

オールドのボルティのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
4.5
シャマランの作品は久し振りに観たのだが、ものすごく面白かった。
冒頭で、登場人物たちの職業や持病なんかが非常にわざとらしく説明的に示されるあたりや、極度にご都合主義的な展開などを見るにつけ、「相変わらずやってるな」と嬉しくなった。

多くの人が指摘しているように、本作はコロナ禍の隠喩であるともいえるし、地球環境などお構いなしで急速に発展し、急速に老いていく資本主義世界のメタファーであるともいえるかもしれない。
あるいは、島の実験の模様を監視、記録する役をシャマラン自身がやっていることから、19世紀に産声をあげ、20世紀を通して他の表現を圧倒して成長し、今まさに死につつあるといわれる「映画」そのものをシャマランは看取ろうというつもりでいるのかもしれない、とも思った。
そうだとしたら、笑っちゃうほどナルシスティックかつヒロイックな態度なのだが、思えばシャマランという人は昔から一貫してそういう、ドン・キホーテ的な映画作家ではなかったか。
サンチョ・パンサみたいな作家はたくさんいるが、ドン・キホーテみたいな作家は貴重である。
そして結局のところ、自分はいつだってサンチョ・パンサの賢明さよりも、ドン・キホーテのひたむきさに胸打たれてしまうのだ。
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