松井の天井直撃ホームラン

アンダードッグ 後編の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)
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☆☆☆★★(開始から100分)

☆☆☆☆★(ラスト30分は超胸熱)

「◎◎◯○◯◯゜◯◯になれよ!」

「うっせえ!バカヤロー!」

前編を観て書いたレビューでの「オリジナりティーが感じられない…」との考えは、この後編ではあたらないだろう。そこだけはしっかりと認識されて貰った。

冒頭(離婚はしていないが)別れた妻役の水川あさみになじられる晃。バックに流れるのはブラームスの交響曲3番だ!
以後、この曲は暫く流れないのだが。やがて展開されるのは、前編での謎のデリヘル嬢瀧内公美と晃との関係性。
少しずつ、この謎の女の私生活。そして、これも前編で謎だった常連客上杉柊平の身体に関する謎。
そして前編で明かされなかった、ライバル(となる)北村・萩原ペアとの関係性が浮かび上がり。遂に前編で欠けていた全てのピースが繋がる。

再びブラームスの3番が流れるのは。明美と店長のトラブルを巡り翻弄された晃が、妻を頼って訪ねる場面から。

晃と明美。及び晃と妻。父親を想う息子の気持ち。
五朗(店長)と兼子。どうにもならない地獄の日々。
龍太と加奈。明るく輝いていた未来に鉄槌が振り降ろされる過去の事件。

この3組の過去と現在に振り返っている胸の奥の苦しみがブラームスの調べで盛り上がる。
妻からは「見っともないとこ見せないでよ!」と蔑まれ。気になる女の明美には「あんた、ダッセェ〜!」とバカにされる。

残念だったのは。瀧内公美のキャラクターに、どうしても感情移入が出来ないところ。
後編が始まり。30分以上は続くこのパートに、なかなか思い入れが入って行けないだけに、この後五朗が起こす事件。更には龍太に起こる悲劇に、多少強引とも言える展開が見て取れ。このブラームスの響きから醸し出される悲劇性にどっぷりと浸りきる事が叶わないのがもどかしい💦

ここまでが凡そ後編の半分で。いよいよここから晃と龍太との繋がりが分かり、この2人が拳と拳で会話する(闘う)意味がハッキリと観客に示される。

クライマックスの30分はとにかく圧巻の極み。
ボクシングテクニック等、細かい事を言ってしまってはもはやバカバカしい。それ以上の熱い血潮が濃密に展開されるので、いつしかこちらの涙腺は完全崩壊をきたす。

野暮を承知で言うと、晃と父親との関係性を始めとして。その後の登場人物達全ての未来が分からない不満感は少なからず感じた。
(瞬のその後は見られたが愛は不明)


2021年1月4日 渋谷PARCO8F WHITE CINE QUINTO


今日は訳あって年末に観そこねた後編を観に渋谷へ。
週末には緊急事態宣言が発出される見通しの為に、映画だけを観て一目散に帰宅。
配信なら上映時間そのままの時間で済むが。わざわざ劇場まで行くと、当然ながら交通費(または駐車料金)や食費も掛かる。
この日は家を出て帰って来るまでに5時間以上を費やした。
そりゃ〜どんどん配信で観るよなあ〜(´-`).。oO