雨が地面を打ちつける音と浴槽から水が溢れ出る音。迎え入れられるそこは秘密の花園。私たちの居場所はここにしかない。そんなことを思わせるこの世の中がそもそもどうかと思いもする、ただ現実はそう単純で甘くはない。そうだよね。
青春とプールの組み合わせはとても好き。あの二人が二人で語り合っているあの時間が好き。あの空間に音など必要ない。
全編ろう者の視点で物語は進んでいく。そこにたびたび交わる聴者の国。ただ性虐待を訴える映画であればあれほど聴者のいる場所に怯え、落ち込む姿は描きそうにない。そう考えるとこの映画を、この音を、自分の耳で聞いている者たちにも刃が向けられているのは確かだろう。逃げ場がない、行き場がないと感じさせてしまう。追い詰められても笑顔で何事もなく日々を過ごす。どこの国も変わらないな。
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