ノットステア

川っぺりムコリッタのノットステアのレビュー・感想・評価

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)
4.4
○思い出と感想
東京ソラマチにて「金色のガッシュ!!と雷句誠原画展」。仕事を早く済ませて、行った。
すでに当日券は完売。なんのために来たんだ。
うわー、Twitterやってたよ。10:00開場で10:00過ぎには売り切れって。確認しておけばよかった。けどこれ仕事してる人は行けなくない?前売りは、こんな展示があるって知ったときには終了。。。
交通費だって馬鹿にならないぜ?
風呂壊れたからって銭湯に行くと420円。それを節約するために山ちゃん(初対面)の家の風呂を借りる島田の数百円の重みを感じたよ。。銭湯の話は『川っぺりムコリッタ』です。
そんなことよりよぉ、いちいちこっちまで来て何もせず帰るわけにはいかねーべ。もともとガッシュ→『川っぺりムコリッタ』の予定だったんだから。。。
ということで、上映時間まで読書。。。
帰りに気づいた、あっぶねー。錦糸町にTOHOシネマズは2箇所あるのね。たまたま上映する方に行ってたけどさ!!ちょっとした幸運、幸せでした。TOHOシネマズのアプリだとわかりにくい。ブラウザのほうがわかりやすいかも。
でもま!ガッシュによる落胆は、この映画を観たことですべてなくなりました。

『川っぺりムコリッタ』を観ようと思ったのは、『裸足で鳴らしてみせろ』の上映前の予告で気になったからです。
松山ケンイチがご飯が炊けるタイミングまでしゃもじを持って炊飯器の前に立ち、アラームがなると同時に蓋を開け、匂いを嗅ぐ。それからちゃんと混ぜる。
吉岡秀隆が子どもとすき焼きを食べようとしてる。そこに匂いを嗅ぎつけたムロツヨシがやってくる。なんと、嫌がってるのに強引に食卓につき食べ始める!
お腹が空くような映画が観たいと思ったから惹かれました。
でも軽いお話ではありませんでした。事前にどんな映画かを全く確認せずに行きました。
映画にするつもりで先に脚本を書き、制作が進まない間に書いたという小説も読みたい。

この『川っぺりムコリッタ』の監督=映画『かもめ食堂』の監督と知ったのは観る直前、、、全然調べなかった笑


ではここからネタバレがあります。
















映画館で観ると当然、メモなんか取れないので、セリフはだいたいこんな感じというものですが、印象に残ったシーンとセリフを備忘録として書きます。

山田(松山ケンイチ)
・3,4歳の頃に両親は離婚し、高校生で母親に捨てられ、いい仕事があると言われて働いていたら警察に捕まり、でも空腹を味わわなくていいんだと嬉しくなり。
・図々しくて、幸せを見つけるのがうまくて。
・こんな生きる資格のない僕が幸せを見つけていいんですか?
・怖さを和らげるおまじない
7×9=63
7×8=56
7×7=49
7×6=42
7×5=35
7×4=28
7×3=21
7×2=14
7×1=7
・イカの塩辛工場で勤務。イカを捌く。イカの目玉目玉目玉目玉目玉

島田(ムロツヨシ)
・小さな幸せ、ささやかなシアワセを日々見つけることで、ギリギリの生活でも耐えられる。
・ご飯ってね、1人で食べるより誰かと食べたほうがおいしいのよ。
・うまいんだよなぁ。
・ミニマリストなの。(山田に何か言われそうになると)クズじゃないよ。ミニマリストなの。
・島田は図々しくて、自分のものはみんなのもの、みんなのものはみんなのもの、という感じ。風呂は勝手に使うし、冷蔵庫を勝手に開けて発泡酒を飲んでるし、次の昼のお弁当にするからご飯のおかわりはダメだと言ってもおかわりするし。すき焼きには勝手にお邪魔しちゃうし。だけど、採れた野菜は頼まれなくても持ってくる。「所有」がほとんどない。それが山田からしたら嫌だったけど、だんだんと心地よくなっていくし、(肉体的にも精神的にも)救われる。(みんなのものという意識はちょっとだけだけど溝口にもある。最後のシーンで礼服を山田に貸してあげるなど。すき焼きはあげたくなかったみたいだけど笑)
・馬鹿だから今までお金を騙し取られてきて。だから人を騙して捕まった山ちゃんのことが怖くなったんだよ。自分にだって隠したい秘密はあるのにね。(園秘密は最後まで明かされなかった。)
・おれは死ぬときに一人でも寂しいって思ってくれる人がいればいいって思ってて、山ちゃん、寂しいって思ってくれる?

社長
・コツコツ生きていけば更生できる。
・一日があっという間。気づけば一週間が経ち、一年が経ち、十年が経つ。(山ちゃんが「意味なんかあるんですか?」と聞くと、)あるよ。でも、それは十年を経験した人にしかわからない。
・今辞めちゃダメだよ。今辞めたら十年の意味を知らないまま漂うように生きるようになってしまう。そんな人をたくさん見てきたけど。社長命令だから。

坊主のガンちゃん
・坊主のガンちゃんが風船ガムをかんでるところ。なんか似合う。
・飲みに行って、誤りながら嘔吐するムロツヨシに背中を貸してやりおんぶしてあげるガンちゃん。おんぶされても吐き続ける。

大家さん(満島ひかり)
・(死んだはずの)岡本さんに会いたい

墓石売りの溝口(吉岡秀隆)
・吉岡秀隆のふぐ刺しを食べるイメージが、こんなにも食欲をそそられるなんて。凄かった。。「想像してごらん……」
・(家賃半年滞納してるのになぜすき焼きを食べているのか。それは……)高級なお墓が売れました。……200万円です……犬のお墓らしいです。(山田たちは安いお墓も当然買えないし、その日のご飯にもギリギリの生活なのに。。。)

タクシーの運転手(笹野高史)
・供養の仕方は人それぞれ。残された人のために行うのだから。
・妻の骨を粉状にして打ち上げ花火にした。花火師の妻だからこそ。

役所の男性
・孤独死の人の多くがドアを向いて亡くなってるんです。いざ死ぬってときに誰かに助けを求めようと外に出ようとするんです。
・自殺のときは家の内側を向いてるんです。
・お父様はそのどちらでもなかったと聞いております。お風呂上がりだったみたいで、飲みかけの牛乳があって(山ちゃんのルーティンと同じ。)ベランダでは植物も育てて。丁寧に暮らしてた人なんでしょうね。

命の電話の人
・小さい頃に空中を漂う金魚を見たことがあります。……おそらくそれが魂なのでしょう。


ナメクジ。蛆虫。女郎蜘蛛。人骨。こういう映像もありますので少し注意。

テーマは、食、死、弔い、罪、小さな幸せ

ちょっと太めのでも太すぎない黒や濃い灰色のチノパンにTシャツっていう衣装も良かった。






パンフレットより
火葬という儀式は、死者の骨を見ることで、こちら側の人間に、諦めと踏ん切りをつけさせるためのものだと思う。死者の骨は、その肉体はもう決定的に存在せず、あの人はもうこの世にいない、という残酷な現実を目の前に突きつける。それはグロテスクなものだけど、私たちは、それを慈しむ。