「心の準備なんていらないでしょ。風呂は沸いてるんだから。」
誰も知らない、絶望からの始まり。
トマト、胡瓜、湯船、米研ぎ、蝉時雨に鐘の音まで、何でも至高のAMSR。静かな邦画だからこそ聴ける音の数々。
あの平家はボロい。みんな何かしら背負っている。でも、それぞれに些細な幸せが零れている。
総じてキャスト最高。
松山ケンイチの無言の演技がすごい。力の抜けた目・肩と猫背に、徐々に生気が宿っていく。
ムロツヨシの乾いた笑い、悲痛な演技には胸を打たれる。少しずつ彼の歴史が分かり、最後の風呂場のシーン。不覚にも泣く。
個人的に、無駄にBGMを入れない、無駄に会話を交わさない映画ほど好き。自然な音や木漏れ日、何でもない言葉の一つひとつが印象に残る。引き算の美学...?
2024年鑑賞24本目