ハレルヤ

林檎とポラロイドのハレルヤのレビュー・感想・評価

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
3.6
何の前触れも無く突然人が記憶喪失状態になる奇病が蔓延した世界。主人公の男性もバスで眠っているうちに記憶を無くして施設に入る。新しい自分としての日々を送るも、いきなり過去の自分の断片が頭に蘇る物語。

ギリシャから変化球のドラマが登場。何も知らずに劇中のシーンを見てみたら、主人公は淡々と日常を過ごしているだけ。でもその実態は記憶を失ってしまい、新しい自分を生きようとしているもの。

変に近未来SFのような形にせず、今の日常に沿った形だからこそ、日常生活の延長線のような雰囲気があります。非日常的ではなく、どこか実際に起こり得そうな作風は個人的に好み。

よく言われている事で「人は2度死ぬ。1つ目は肉体的に。2回目は忘れられた時」。見終わってそれが頭に浮かびましたね。あまり踏み込むとネタバレになるので控え目に書きますが、主人公の行動を通じてそれが感じ取れました。

説明はほとんど無く、淡々と進行する雰囲気なので90分とはいえ、結構長く感じてしまったのも事実。大きなイベントも無いので、エンタメ性を重視する人には合わないでしょう。

見終わった直後はそこまで良さは感じませんでしたが、しばらく時間が経った今振り返るとジワジワと良さが滲み出てきたような気がします。伏線と考察がかなり出てくるので、改めて本編を見直してみたくなる気持ちになります。スルメ的な良さがある作品という印象でした。
ハレルヤ

ハレルヤ