ふぃん

林檎とポラロイドのふぃんのレビュー・感想・評価

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
3.5
記憶喪失が蔓延する世界で生きる孤独な男の喪失と再生の物語。

忘れようとすればするほど脳に刻み込まれてしまう。
思い返せば自分もそうだ。
楽しい記憶よりも辛く悲しい記憶の方が鮮明に覚えているし、忘れたと思っていてもふとした時に思い出すのは何故か苦しい記憶ばかりだ。

明るく楽しい記憶だけ抱えて生きていけたらどんなに幸せだろうか。
それでも人は、辛い記憶も悲しい過去も全て受け入れて生きていかなければいけない。

ラスト、無心で林檎を頬張る男の姿からは前向きな覚悟を感じた。

忘れてしまうこと、忘れたいこと、忘れたくないこと。
林檎は記憶を留めるために、ポラロイドは新たな記憶を作るために。
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