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続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画のYouKeyのレビュー・感想・評価

4.3
 これは日本でCNNも何も観ていないひとにぜひとも観て欲しい!アメリカ大統領・副大統領選のディベートや支持者達の部分、削除されたシーンがまた強烈。あれじゃ感染収まらんだろうと納得する。

 第1作を観て以来実に14年。その間欧州から日本へ帰国したり、3-11はあったし、ワインスタイン事件も起きたし、MeToo運動も始まった。そして現在のウイルス騒動。気づいたら映画が120分台を超えるのが普通で、あれはだめこれはだめ、『不適切』のオンパレードですっかり殺菌されてしまったハリウッドへさらに嫌気がさし滅多にシネコン大作を観なくなったいま、映画館へ行くのもマスクに抵抗はないけど途中の電車や食事する場所が気になるのでついに配信で新作公開の波に乗った。ロンドンのテームズ河に大きなボラットのバルーンを乗せた広告船が浮かんでいた画像には大笑い。リツイートすると顰蹙を買いそうなのでリツイートは控え、『観た』『観たい』というフォロワーにだけリプライで『観た、くっそ面白い!』と感想を伝えている。

 前作ほどのエゲツなさは薄れていてもその代わりにサシャ・バロン・コーエンのイギリス人特有のキツさ(かつ冷静な観察眼)は相変わらずで、マイク・ペンス副大統領の演説シーンは出てくるわペンス氏と引っ掛けたジョークはとばすわ、元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏がおいおい、それはないだろうというリアクションをジャーナリスト志望のボラットの娘(ブルガリアの女優が逮捕覚悟の名演!)が取材中にとって、これも14年前だったら大して話題にもならなかっただろうな。ワインスタイン事件があり、事あるごとにハニートラップだなんだとスキャンダラスな話題が一度発生するとSNSのおかげで数珠繋がりのようにあれやこれやと真偽の定かでない話が湧いて出てきて裏を取らずにリツイートしているおバカさんがめっきり増えたここ数年だから、なおのこと普段は現在のアメリカが抱えている問題を駆け足で知るにはもってこいの作品。例えばマスクをするしないって日本でも騒ぎになっているけど、日本の場合は『男らしくない』からマスクしないんじゃなく、個人の好き嫌いやマスクの有効性に疑念を抱いてのことであって、それがまだ奇跡的にも映画館へ行ったりそこそこ休日には買い物へ行けたりする理由の一つだったりする。

 ブラッド・ピットは民主党のジョー・バイデン候補を応援するのか、ワールドシリーズ中のバイデン候補のCMでナレーションを務めた。いまやアメリカ国籍を持つ日本人が増えたのか、カリフォルニア州では有権者登録用のサイトに日本語ページができていたのは隔世の感。
僅差でアメリカ市民の雇用を増やすと発言した現職大統領が再選されそうな気はするものの、投票率を上げる、投票が普通のことだと学ぶためにも投票してほしい。
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