そーる

あの夏のルカのそーるのネタバレレビュー・内容・結末

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ひと夏のイタリアを舞台にした作品。

海へと続く美しい港町ポルトロッソ。
シーモンスターの出現に怯える町民たちと
"シーモンスター"である主人公ルカ。

夏の作品だけあって、すごく淡い作品になっているし、見ていていい意味で重みがない。
主人公ルカは、一貫して自由への渇望がある。
その為少し(いやかなり)自分勝手。
心優しい少年ではあるが、深海へ送り込まれてしまう境遇から何とか逃れることが先行している。

対するアルベルトは、彼も彼で自分勝手な少年ではあるものの、
彼は父に捨てられてから一人で過ごしてきたので、やっとできた友人を失うのが怖いことが先行しているように感じた。

そんな2人が、人間の少女ジュリアと出会い
互いに友情を深め、トラウマを克服していく。

特に注目したいシーンは
ジュリアと仲良くなったことに嫉妬したアルベルトが、
自身の正体をばらすシーン。
ジュリアはアルベルトがシーモンスターであることに怯え声をあげる。街の人たちにも見られ、
ルカは自分を守るために『シーモンスターだ!!』と叫んでしまう。
正直こんなに現実性のある卑劣なシーンがかつてのディズニー作品にあっただろうか、、
個人的にはこのシーンに相当心を傷つけられた。
自身の保身の為に外の世界へ連れ出してくれた友人を切ったのだ。

しかし個人的にはその後のシーンに救われた。
アルベルトが帰ってこないことをルカ達は『彼は1人になりたいみたいなんだ』と嘘をつくが、
ジュリアの父マッシモは『でもそうじゃないかもしれない』と言って探しに出る。
父マッシモもまた、ひと夏しか会えない自身の娘に寂しさを感じている人。
自分と同じ、家族のピースが欠けているアルベルトに対してもまた何か思うところがあったのだろう。
彼の海ほど広く深い父性に涙してしまった。

ディズニー作品は家族ものになるとひとつひとつの言葉が本当に重く深い。
しかし本作は全体的に淡く軽く作られているので、感情の起伏がいい意味でないまま見ることができる為バランスがとてもいい。




あとがき。

"おおっとモッツァレラ"が個人的にはツボすぎました。笑
そーる

そーる