pilotis

初仕事のpilotisのレビュー・感想・評価

初仕事(2020年製作の映画)
4.2
TIFFにて。めちゃ良かったです。音はわざとらしく煩いんだけど(映画館の問題?)、カットも演者もあとヒト声と願わずにいられないんだけど脚本が素晴らしくて寝る前に思い出してまた考えてしまう。
この作品見ようと思った人の動機はほぼ「死体を撮影するとは…」という部分だと思うのだけど、その依頼者が新人カメラマン山下(ベテランに仕事を投げられる)にキレ気味に、仕事との向き合い方を詰め寄られる。タイトル「初仕事」ですから。ええ…そいつヤバくね?って半笑いでまず捉えるのは、自分がそんな狂ってる奴と違うと思ってるからだし、「切実あるほど怖い」から。自分ごととして考えてない浅さや理解力の低さを露呈されるの、刺さるんです…

この依頼人、ちょっとオタク風で自己完結してヤバそうな喋り方から、ちょっとずつ覗かせていく顔とセリフが良い。「今日重いの3本観て疲れた。もうこれ無理」と思ってたのが徐々にのめり込んで見れた。
冷蔵庫を開ける緊張ったらゾッとするし、どこか神聖な感じもあり、二人がどんどんシンクロして深みに嵌る。
ある所でプツンと一人、「そいつヤバくね?」という他者視点に浮上し、もう一人は戻り切れずやり切れない。

好きな「秘密」という小説に似ている部分があって私はよりのめり込めたのかも(あれは恋人を冷蔵庫に)
文学的な印象もあり、ラストは依頼者がただその時自分がおかしかったと諦めたのではなく少し流せるようになったんだなと思えたのも良かった。
pilotis

pilotis