Monsieurおむすび

兎たちの暴走のMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

兎たちの暴走(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

世界から置いていかれたような中国地方都市。幼い頃に自分を捨てて翻弄に生きてきた母が16年ぶりに姿を現したことで運命の歯車が狂い始める少女とその周囲の哀歌。

主人公の少女と突然、舞い戻った母親を軸に、其々が家庭に問題を抱える3人の少女たちの青春群像劇の様相から、後半はサスペンスフルなノワールへと転調したのは驚いたが、思い返せばバッドエンドから始まる冒頭が、その結末を示唆していた。

だからなのだ。
劇中のどんな青春の瑞々しい場面も、母娘の愛情を確かめ合うような場面もが、彼女らの結末を知っている私には哀切のフィルターを通してしか観れなかった。

自分の存在が娘に悪影響だと理解している母親とそれを慮り、母を庇う娘。
同じような境遇のクラスメイトへの共感と羨望。
なにがいけなかったのだろうか?

「ぜんぶ夢だったらいいのに。って願っているでしょ?」

そんな結び、切な過ぎる。
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