兎たちの暴走の作品情報・感想・評価

「兎たちの暴走」に投稿された感想・評価

pherim

pherimの感想・評価

3.8
幼いころ己を捨て自由に生きる母への憧れ。17歳の少女は実母の窮地を救うため、裕福な同級生の身代金誘拐を企てる。

中華ノワールの好趣。四川省攀枝花市の夜闇駆け抜ける映像、廃墟の劇場など美術の座組が良い。少女の心を象る、重慶/成都/昆明とも異なる新興重工業都市の浮遊感。


『兎たちの暴走』“兔子暴力”は、1977年生まれ女性の申瑜(シェン・ユー)監督デビュー作ながら、スタッフ・制作陣にロウ・イエ組、リー・ユー組が関わり、「中華ノワールの好趣」とはそういうこと。

『シャドウプレイ』“风中有朵雨做的云”: https://twitter.com/pherim/status/1198449373157326848

『兎たちの暴走』母役・万茜(レジーナ・ワン)出演作『鵞鳥湖の夜』から始まる“中華ノワール”連ツイ:
https://twitter.com/pherim/status/1265839448635277312
や

やの感想・評価

-
母と娘、娘の友人2人、彼女たちが置かれた立場や関係性の変化がうまく描かれていて、彼女たちの気持ちが痛いほど伝わってくるのだが、物語が大きく動く後半が失速してしまうのが残念。果たしてあの冒頭シーンが必要だったのか。

@TOHO六本木/TIFF
ゆき

ゆきの感想・評価

4.1
トンネル

決断は時間をかけて後悔になることもある。
結末から過程を辿る展開。
まだ子供で、ときに大人である高校2年生。
しかし意志の固い女になる基盤はすでに出来上がってた。
家庭におけるそれぞれの閉塞感が鍵となる。夢に見たような日々は掴めそうで掴めない。
感情の表し方がたまにファンタジックになるのは女性監督ならではだろうか。
16年ぶりの再会で抱いた母性。
少女たちの危うい美しさもさながら、レジーナ・ワンにも見惚れる時間でした。
静かに回収していく物語は、徐々に気持ちを侵略してたみたいでエンドロールが流れきってもしばらく立てなかった。
すごく好きな一作に出会えました。

×××
生後間も無く自分を捨てた母親と出会った少女。愛のない継母からの扱いに絶望していた彼女は、憧れていた「母親との時間」を楽しむが、現実はそう甘くなかった。
aoliy

aoliyの感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

かなりよかった…


実話ベースのお話で、
正直ストーリーはありきたりな感じもしますが、
演技が素晴らしかったのと、冒頭とラストの演出がとてもよかったです。



主人公の水青は継母にいじめられ家に居場所がない高校生。
実の母親に捨てられてもなお憎まず、自由気ままに生きる母親に憧れている。

息の詰まるような日々の中で、突然母親が帰ってくる。
長年連絡さえもしてこない母親でも彼女にとってはすべてが眩しく美しく映る。彼女にとって救いに思えた。

水青の友達である马悦悦と金熙もそれぞれ家庭に問題を抱える同級生。
父親に束縛され自由がない马悦悦と
お金持ちだけど親から愛に飢える金熙。

4人のドライブシーンはこの映画の中で唯一きらきらして希望にあふれていたシーンだと思う。
それぞれの本音と告白。
トンネルを抜けたら理想の時にいける、
そんな迷信を信じて。

多額の借金でヤクザに追われ命が危ない母親を救おうと水青は無謀な計画を立てる。
最初はぼんやりして弱そうな彼女の顔つきがみるみる変わっていく。
金熙に放送を強要されたシーンは彼女のそんな決意がひしひしと伝わるものだった。
母親のためなら何もかも捨て親友さえも裏切る、そんな決意を秘めた強い眼差し。

ラストのトンネルを走るシーン
何もかも夢だったら…
なんとも切ない終わりでした。







お母さん役を演じていた万茜さん、初めてですが、タイプ過ぎるお顔。
終始うっとりでした。
洗練された美しさの中に色気と危うさが漂う。
舞台での生活、小指の怪我、黄色の車、シャネルのバッグ。
何かから逃げてきたであろう彼女の危うい美しさを際立たせていた。
【TIFF2020】「兎たちの暴走」母親がクズだと娘が苦労するなぁ~。可哀想でした。でもクズ母にも、娘への愛があるようでした。良かったなぁ。
https://t.co/6opaYXPm7d?amp=1
TIFFにて鑑賞。
主人公含めて3人の女子の演技がまず素晴らしい。
皆の背景、事情がよくわかります。

結構みなハードなんですよね。

特に主人公の子の表情演技が素晴らしい。
子犬のような、諦め切った大人なような
年相応の女の子の無邪気さ、などなど。
そして追い込まれた時の狂気。

人物の背景から、関係性。
そこが、しっかりしているから
暴走に説得力が生まれています。

なかなかの傑作でした。
【東京国際映画祭2020】にて、

メインとなる3人の少女たちの表情が、実に絶妙。

女子高生モデルの父親、身近に居そうなマジで怖いタイプ…

人間、追い込まれたら何をするか分かりません。

果たして、あの後はいったい、どうなったんだろう…?

その後の物語も、とても気になりました。
Naoya

Naoyaの感想・評価

2.3
父親とその再婚相手と3人で暮らす女子高生だったが、突如、彼女が生まれて間もなく出奔して音沙汰なかった母親が戻ってくる。2011年の実際の事件に基づくサスペンス・ドラマ作。母親が戻ってきて、女子高生自身の青春ものの素敵な雰囲気、彼女の輝きが増す展開もあるが、やがて変化していく環境は重く、辛さや苦しみが滲み出てくる様の、色彩のアンバランスさが良い。斬新な母と子の愛の事情も垣間見える物語になってます。邦題も良い。本作出演の女性陣は各々が魅力的で見応えがある。
籠

籠の感想・評価

3.5
魅力的な顔触れで期待したサスペンスは冒頭のみ…学校描写までは良かったが後半はアート寄りとなり脱落…
まさかこちらは配給なのですか?
lp

lpの感想・評価

4.0
東京国際映画祭にて鑑賞。

TOKYOプレミア2020より中国の新人監督による作品『兎たちの暴走』。
実は当初「普通の行き別れた親子のドラマ」かと思ってノーマークだったのだけれども、予告を観たらサスペンスの要素も何故かありそうだ・・・ということで、気になって鑑賞することに。
結果、観ておいて良かったと思える面白い作品でした。

父親と継母と暮らす女子高生が主人公。彼女はどうにも継母との折り合いが悪く、フラストレーションを溜め込んでいる。そんなある日、幼い時に自分を捨てた実の母親が帰ってきて・・・というのがあらすじ。冒頭の時点で何やら誘拐事件が起きることはハッキリと明示されており、その事件が発生するまでの顛末を遡って描くのが今作の構成だ。

ストーリーにおいて特徴的なのは、主人公の友人2名も家庭環境に悩みを抱えており、その友人達をも巻き込み話を盛り上げていく点に感じた。
最も身近な存在である「家族」の関係に悩むことが強烈なストレスとなり、タイトルにある「暴走」へと繋がっていく。主人公だけが抱える問題にするのではなく、主人公の友人達にも家族の問題を背負わせることにより、作品の主題がより明確に伝わってきた。巧い。

惜しむらくは、主人公の実の母親も事情(問題)を抱えているのだけれども、その内容が凡庸に感じられたことだ。ドラマの核となる部分の1つではあったので、そこが弱いとドラマ全体でも「普通」という印象がどうしても強くなってしまう。逆にここでも一捻りあれば、映画祭期間中のベスト候補には充分なりえたはず。実に惜しい。

新人監督の作品とは思えない完成度の作品でした。今作のシェン・ユー監督には今後も注目したいと思います。
機会があればぜひ。オススメ。
>|