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トゥルーノースのambiorixのレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
3.8
北朝鮮ものといえば、昨年の暮れにマッツ・ブリュガーの『ザ・モール』と『ザ・レッド・チャペル』を立て続けに見て衝撃を受けましたが、こちらもまた別のベクトルでスゴイ作品。しかも日本の映画なんですね(インドネシアとの合作)。
しょせんはアニメだしな…キャラデザもなんかプレステ時代のポリゴンみたいでカクカクしてるな…と軽い気持ちで見始めたのがいけなかった。これが想像以上にキツかった。
何がもっとも恐ろしいかって、本作に出てくる政治犯収容所が今も現在進行形で稼働しているということで(エンドクレジットに空撮の写真が何枚か出てきてさらにびっくり)、作中の凄絶な描写とあいまって、生半なドキュメンタリーよかよっぽど真実味を感じた。
でもこれを北朝鮮特有の問題に還元して、北朝鮮って怖いわね、で終わらせてしまうのもどうなんだろう?と思う。そらまあ不穏分子を手当たり次第に絶滅収容所に入れる国がそこら中にあるわけではもちろんないんだけど、たとえば主人公ヨハンがそうしたように、「特殊なシチュエーションに置かれた人間が立場の弱い人に対して非人道的な行動を取ってしまう」この構図というのは北朝鮮に限らず、大なり小なり世界中のどこでも起こっている。現に日本でもウィシュマさん事件が話題になったばかりなので、とても他人事とは思えなかった。
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