ゆずっきーに

トゥルーノースのゆずっきーにのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

作画は動きが粗くカクついている箇所も見られるが、それは出資が得られない中でも自費で制作しきったことによるものであり、どこまでも感服する。

現にかつて強制収容所に居させられた脱北者たちへのインタビューを基に作られており、おおよそ想像だにしない凄惨な世界をこれでもかと見せつけてくる。「極限下にあっての人間の尊厳」「システムによる人格破壊」といったテーマは『夜と霧』を彷彿とさせる。違いはこれが現在進行形であるということ。
一方でエンターテイメントへの眼差しも忘れておらず、二転三転するストーリー自体が純粋に「面白い」。この「面白さ」を決して手放さまいとすることに、何としてもこの映画を広く世に知らしめねばならないという制作者の信念を見た(英語音声にしているのもそのためだろう)。物語性に重心を寄せた分リアルさは幾らか損なわれるが、適切なバランス感覚。
切実な問題意識を作品として昇華させ一人でも多くの人に届ける、これぞ映画の真髄と改めて痛感させられた。

世界最悪の人権問題(と監督は語る)に今まで全くの無知であった己の浅学を大いに恥じ、また「エンタメのままでは終わらせない」と言わんばかりのラストカットにじわじわ心を抉られました。もっと勉強します。
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