モカ

タイムのモカのレビュー・感想・評価

タイム(2020年製作の映画)
3.0
20年以上収監されてきた夫の出所を訴え、6人の息子を育ててきた女性のドキュメンタリー。

夫のいない間、子どもの成長を見せようと家庭用ビデオで撮り続けた映像と、現在の映像を繋いで作られていて、最後に時間を取り戻すように巻き戻されていくのがとても印象的だった。

ただ、丸腰で見ると特に日本人にはなかなか受け入れ難い作品だと思われる。
(敢えてこの映画を選ぶ層は心配無用かもし)ない)

アメリカでは3割以上の国民が何らかの犯罪歴を持っていること。
例え犯罪者や前科者であっても、権利を求めるために声を上げるのは一般的であること。
仮釈放なしの懲役60年はかなり厳しい判決であり、明らかに黒人差別が影響していること。

等々、ある程度意識していないとただの感情的で厚顔無恥な女性のストーリーに見えてしまう可能性がある。
特に日本人には「犯した罪を一生涯かけて償うのは当然のこと」と見る風潮があるため、
感覚からして理解が難しいのではと感じた。

ただ他のレビューでも指摘されてる通り、なぜ銀行強盗をしたのか?暴力や銃を使ったのか?死者や怪我人はいたのか?などの説明が全く無いところは不親切で、
本当に懲役60年が不当判決かどうか私にも判断できなかった。

あと彼女の数々の講演は何をテーマに話しているのかというのも分からず、なんだか宗教っぽくも見えてしまった。

時間と興味があれば、見るのをお勧めする作品。
オスカーの長編ドキュメンタリーでの他作品と比べたら、オクトパスとCollectiveのほうが断然優れていると思う。
モカ

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