アキラナウェイ

アメリカの友人のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

アメリカの友人(1977年製作の映画)
4.1
「パリ、テキサス」、「ベルリン・天使の詩」、「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」のヴィム・ヴェンダース監督作品という事で、ずっと観たかった作品。

邦画「街の上で」のふとした会話にも、この作品の話題が出て来たし、観るタイミングが巡ってきた感覚があったので鑑賞。

そしたらよ。

原作は映画「太陽がいっぱい」や「リプリー」の原作小説の続編で、主人公トム・リプリーのその後を描いた「トム・リプリー」シリーズの第3弾である(引用:Wikipedia)。

え、ちょ、待って。
「太陽がいっぱい」を観たとこやって。この不思議な縁には心が震える。

映画は数珠繋ぎ。
映画は芋づる式。
全ては繋がっているのだっ!!

贋作をヨーロッパで売り捌くアメリカ人のトム・リプレー(デニス・ホッパー)は、絵画を偽物だと見抜いたヨナタン(ブルーノ・ガンツ)が白血病を患っている事を知る。トムは、マフィアを殺す為に人手を捜しているミノという男に、ヨナタンを紹介する。残り少ない寿命のヨナタンは残された家族に金を残す為マフィア殺しを引き受けるのだが—— 。

デニス・ホッパーも、ブルーノ・ガンツも若い!!大好きなお2人。

映像がひたすらにカッコ良い。夜景や石畳の街並み、海辺を走る赤いビートル。黄色いレインコート。色使いが素晴らしい。

軋む様な音色を奏でる弦楽器が心を掻き毟(むし)る。

白血病である事は事実だが、余命が短いとでっち上げられた素人ヨナタンが、殺しの依頼をこなしていくスリル。

1人目、地下鉄での殺人。
走っちゃダメだって。

2人目、列車内での殺人。
助っ人として現れたアメリカの友人の心強さ。

終盤、救急車の爆破シーン。
凄まじいものを見せられている感覚。
ある種のカオスでもある。

ストーリーの惹き込みは弱いが、映像表現としての魅力は抜群に良い。

なるほど。「太陽がいっぱい」のその後のリプリー(リプレーはドイツ発音?)は贋作を売り捌いているというのは合点がいく。所詮はまやかしの中で生きている男なのだ。

しかし、そんな彼がヨナタンに感じ取ったのは、真の友情だったのか。そんな事を考えながら迎えたラストはそれでも混沌としていた。

発見。
若かりし頃のデニス・ホッパーは、ジェームズ・フランコと、表情が似ている。