アメリカの友人の作品情報・感想・評価

「アメリカの友人」に投稿された感想・評価

aoi

aoiの感想・評価

3.7
真っ赤なベッドカバーに横たわるシーンから、すごい色遣いだなと驚き。
古い映画なのに、赤・青・黄色の霞んだような画面が色味がムーディーでとても綺麗。こういうのをフィルムノワールっていうのかな。
iPhoneの加工風にいうならクロームって感じですかね笑

余命が短い男・ヨナタンが妻と子供にお金遺すべく、殺しを請け負う。
それを斡旋してしまったアメリカの友人・リプリー(元々は友人ではない)

ヨナタンのような姿を見ると、家族を持つ=守るべきものがある人間の強さと脆さを一気に見せつけられる。
一人なら思い残すことのないように色々片付けて死んでいけばいいけど、家族がいると思い残すことなしには死ねない。
守るべき者のために、なんでもできる強みにもなるし、付け込まれる弱点にもなる。
対して、孤独なリプリーの哀愁漂う姿がまたたまらない。

ヨナタンとリプリーの探り探りの会話シーンはどれも好き。情=愛着なんだなと。
途中から出てこなくなる字幕には泣かされた。

# 188/2018
kaomatsu

kaomatsuの感想・評価

4.5
フォローさせていただいている方のオールタイム・ベスト作品についてレビューするのはとても緊張するが、いつかは必ず書きたいと思っていた。遡ること25年ほど前、東京の三軒茶屋界隈に住んでいた私は、当時としては都内でも圧倒的な本数を誇っていた下北沢のレンタルビデオ店で、ヴィム・ヴェンダース監督の一連の作品をレンタルした折に、この作品を観ている。大まかなストーリー以外はほとんど忘れてしまっていたが、filmarksを始めてから、あるフォロワーさんが生涯のベストとして掲げていたのをきっかけに、四半世紀ぶりに観てみたら、シークエンスごとの記憶がデジャブのごとく鮮やかに蘇ってきた。

トム・リプリー(デニス・ホッパー)は、贋作画家(ニコラス・レイ)に依頼していた絵を受け取り、ハンブルクのオークション会場へと足を運ぶ。会場では、主催の額縁職人ヨナタン(ブルーノ・ガンツ)が、リプリーが持ち込んだ絵を贋作と見破るが、その絵は高値で落札される。会場で握手を求めるリプリーに対して、絵画が投機に利用されるのを嫌うヨナタンは、握手を拒否する。それ以来、リプリーはヨナタンの額縁店に何度か足を運ぶ。そして、知人のミノ(ジェラール・ブラン)から殺しの依頼を断ったリプリーは、代わりにヨナタンをヒットマンに仕立てようと、ミノに彼を紹介する。ヨナタンは不治の病に冒され、先は長くない。妻と子供のために、お金を遺してあげたい一心で、彼は殺しの依頼を引き受けてしまい、まずは成功する。ところがミノはヨナタンにさらなる殺しを依頼。善良な一市民であるヨナタンを憂慮し始めたリプリーは、列車の中で二度目の殺しに失敗したヨナタンを間一髪で救い、協力して後始末をするが、もう後には引けなくなった二人の背後には、殺しの魔の手が…。

パトリシア・ハイスミス原作。『太陽がいっぱい』で、アラン・ドロンが演じた主人公トム・リプリーの後日譚である。本作でデニス・ホッパー演じるリプリーは、家族と共に平和な日常を営んでいたヨナタンの懐にスッと入り込んだ、実体のない死に神のような存在だ。しかしながらこの死に神、めっぽうセンチメンタルで寂しがり屋らしく、ヨナタンを殺し屋に仕立てておいて、常にヨナタンを助けたり、交友を求めたりしているし、「怖いものはない。恐怖以外には…」なんて言葉を呟いてはテープレコーダーに録音し、それを一人密かに聴いたりしているのだ…。

職工の街、そして港街であるハンブルクの町並みや、幸せな一家族の風景など、とても静かなトーンを基調にしつつも、殺しのシーンではヒッチコックにも通ずるサスペンスフルな緊張感に溢れていて、とてもメリハリが効いている。そして、立場や境遇が180度異なる男同士の友情が成り立つのかを検証していくような、骨太でいぶし銀のストーリー・テリングに惹き込まれる。また、ヴェンダースが師と仰ぐニコラス・レイやダニエル・シュミットらのシネアストたちが、ワルな男たちをアイコン的に演じるのも、見どころの一つだ。でも、アイコンといえばやはり、ジェームズ・ディーンよろしく深々とカウボーイ・ハットを被るリプリー=デニス・ホッパーに尽きる。その姿は、ヨーロッパが舞台の中、(病んだ)アメリカのアイコンとしての存在感をさり気なく示している。ドイツ人であるヨナタン(ヨナタンを演じるブルーノ・ガンツはスイス人だけど)からみた「アメリカから来た友人」として。
「終わり」に向かっていく雰囲気がたまらない。

どのシーンもカットバックが異様なくらいに良い。フレーミングが良い。

ヴェンダースは技巧もすごいんだろうけど、それが感じられないくらい、映画全体が詩的なもの、感覚的なもので覆われている。
「友情は無理だ」「それを聞いて安心した」という台詞が残る。ラストは詩的で掴み所がないけど、夜明けの海辺のブルーに爆発の炎やスリップするワーゲンの赤がとても映えていた
nknskoki

nknskokiの感想・評価

3.8
白血病で余命の近い男が知らない人に殺しを頼まれる

赤みがかった色温度やテキストで強烈に焼き付けてくる映像

「悩みは数多く、僕に言えることは何もない。悩みは数多く、僕に出来ることは何もない。何もない」

悩みのない人間はいない
なぜ人間は悩むのか
自分で決断できるから決断"する"か"しない"かで悩むのである
悩みは必ず自分で決断できる
自分で決断できないことで人間は悩まない

見渡して見るとこの世の悩みとは全て「重い腰を上げる」か「まだダラダラするか」で人間は悩んでいるのである
ほんと人間ってのは意思が弱いね😅

そう考えると自分で決断する以外無いしその結果は全て自分の責任なんだから、どうせだったらやりたい方、人とは違う方、思い切った方、勇気の要る方に挑戦した方が良いし無駄に時間を消費することもない!

あ!友達が言っていた「悩んでる時間がもったいない」とはこういうことか!
dude

dudeの感想・評価

4.2
画面を支配する色が目まぐるしく変わり、展開は毎度こちらの予想の斜め上をいく。ホテルの窓から見えるデカいクレーンとか列車の車掌室での咆哮とか、何やらやたらと良い。
そしてアメリカの良心と病を両方背負って立つようなデニス・ホッパー!いざというとき頼りになるが日常には馴染まない...。『リバース・エッジ』の彼とセットで。
otom

otomの感想・評価

3.8
何故か観てなかった作品。殺しの後のブルーノ•ガンツとデニス•ホッパーの清々しい事。お断り申し上げる友情の形もあるもんだと感心してしまう。ニックス•ムービーの先に観ておくべきだった。傑作。これで31歳か、恐るべし。
「怖いものはない、恐怖以外には…」
「日に日に分からなくなってくる。自分がだれか、他人がだれか…」


と自分の声をカセットテープに録音する男は人生に疲れた男。そんな男をデニスホッパーが演じ、その負のオーラに圧倒される。


うわさをバカにする主人公の末路、その退廃を彩る風景が美しい。



ヴィム・ヴェンダースなら『パリ、テキサス』を置いてるTSUTAYAはたくさんあれど、本作を置いてる店舗は珍しい。ついでに立ち寄った普段利用しない駅近のTSUTAYAで発見、ウキウキしながら郵送返却で借りた1本。
この人は、映画を使って映画を語ることのできる唯一無二の存在。

散りばめられた"回転"のモチーフ。何かを"回す"描写。映画はフィルムの回転で前に進む。

ホッパーにカウボーイハットを被せることの映画史的な意味。
赤で満たされた本作のラストショットがニコラス・レイで終わることの意義。
ぜんぶわかってやってんだもん。

ヴェンダースは他の作家より二段三段上のところで映画を作ってる。
列車×殺しが二回もある!
地下鉄と寝台列車。

あとは自動車の暴走の仕方。
まるで無意識に海に向かっていくかのような。