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女たちのゲルのレビュー・感想・評価

女たち(2021年製作の映画)
2.4
朱に近い赤色の毒々しさが印象深い。
音楽からしても懐かしい感じで、けっこう年配向けの作品だと感じた。
少なくとも美咲や香織の同世代にはあまり共感できるポイントはないはず。
親世代からの、30代後半の独身女性のイメージをそのまま作品にしました!という感じ。
アラフォーって、社会人経験もそれなりにあるし、そんなにアホではない。
美咲の恋愛の仕方が幼いというか愚かしいというか……。
そして、アベノマスクをボロボロになるまで愛用しているとか、年齢のわりに古風。
香織が男性に拒否反応を示す理由も描かれていなかった。
変な男と付き合ったり、本人がちょっと変わっていたり、男嫌いだから独身なわけではないのだけれど……実際そういう人もいるとは思うが、少数派なのでは?
それと、ヒステリーを起こす人もそんなにはいない。
独身女性への偏見を助長しているようで不快だった。

反面、香織役の倉科カナの美しさに同性でも見惚れる。
どこか寂しげで儚い。
雨の中のひとり芝居は必見。
美津子役の高畑淳子の、圧巻の演技と美肌も!
ただ、それくらいしか見どころが見当たらない……。
観ていてとにかく暗く澱んだ気持ちになってくる。
2020年を描いているのでコロナのことがバンバン出てきて、映画の中くらいコロナのことは忘れさせてほしいと思ってしまう。
人の嫌な部分や人間関係の煩わしさも浮き彫りにされていて、監督は人間が嫌いなのかと疑いたくなってしまうほど。

大学まで出してやったのに教師にならなかった、って自分も以前よく親に言われた台詞だな〜。
介護してもらっているのに、美津子の美咲への態度がひどすぎる。
毒親はいつまで経っても変わらない。
だから毒親。
幸せになってほしい、という台詞に惑わされないように!
一般的な幸せの枠に収まって私を安心させてほしい、という意味だから。
あくまで自分主体。
簡単に和解などできるはずもない。
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