こゆりこ

クライマーズ・ハイのこゆりこのネタバレレビュー・内容・結末

クライマーズ・ハイ(2008年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ面白い。

同じ監督の「関ヶ原」は、
おそらくこのクライマーズ・ハイの感じで作りたかったんじゃなかろうか。

関ヶ原も本作も、
一大事を前にバタバタと話が
進んでいくし、
まさに「現場」という感じに
登場人物がガーガーと捲し立てるように
話したりする。

関ヶ原とクライマーズ・ハイの違いは
セリフ読みの速度とカメラワーク。

クライマーズ・ハイは
バーッと話してはいるけど
意外にはっきり話しているし、
ゆっくり話すところもあるし
何よりメリハリがある。

で、カメラワークがすごい。
カットイン、アウト、ブレ、止め、抜き。
切迫感、臨場感、スピード感が表現されているので、意外にゆっくりハッキリ話していることに気付かない。

関ヶ原は本当に全員まじで早口。
しかも聞き慣れない昔の言葉なのに。
そんでカメラワークもまぁ普通。
終始聞き取れずに終わる笑

やっぱり基本的なことだけど、
セリフは聞かせなければ意味がない。
そして、カメラや音楽、その他の要素で補ったり効果を上げたり。
これが映画、映像作品だよ。



さて、関ヶ原との違いはさておいて、
俳優陣やストーリーもとてもいい。

堤真一や遠藤憲一はコメディも上手いのに
こういう役も上手いよね。すごい。

堺雅人も本当にどハマり。
この人は下手にコメディとかやらせない方が引き立つよね。
はんそでのワイシャツ似合うよね。
そして若い。

滝藤さんもいいね。
いつも気が触れたような役だね笑



仕事って「本当にいいと思うこと」、
「こうすべきと思うこと」をやってこそ
責任感がうまれるよね。

ポリコレじゃないけど、
炎上するだろうからこうしておこう
みたいな気持ちで動いてたら、
それで何かあったときだって
上っ面の謝罪しかできないし
炎上しないための反省しか出来ないよね。

会社や企業はやっぱり
社会を良くすることを考えないといけないから、「自分たちが考える、社会にとってよりよいと思うこと」を打ち出さないといけないよね。

何の話してるのって感じだけど。



悠木の心が折れかけたとき、
遺族親子が新聞を買い求めに来た。

戦ってやろうというとき、
ライバルや同期、仲間がみんなで
協力してくれた。

もう登れないと思ったとき、
息子がハーケンを刺していてくれた。

辞めてやると思ったとき、
佐山がネタの一面を理由に引き留めてくれた。

いいなと思った。
どんなに心が折れても諦めかけても、
誰かはきっと味方でいてくれる。
誰かはきっと応援してくれる。
支えてくれる。
一緒に分かち合ってくれる。
誰かしらは。

そういう世の中でありたい。
というか、そうだろうと思う、割と。
綺麗事と思う人もいるだろけど。



そして、
自分の会社に、自分たちの仕事に、
ずっと愚直にひたむきに向き合って来た
悠木の姿が、
周囲のみんなを少しずつ動かしたんだろうな。

思い切り変えたわけではない。
みんなの勇気ややる気を少しずつ引き出して、でもそれが何人も集まって、いい新聞を作ろう、必要とされる新聞を必要とされる人たちに自分たちの手で届けようって。

そんな上手い話はないんだけど。



でもきっと、悠木は降りない。
安西は降ろそうとしていたけど。



日々に忙殺されがちだけど、
何か色々と頑張ろうと思った。



あと全然話は変わるけど、
「セクハラ」って言葉はこの時代にあったのかね?
別にいいんだけど、素朴な疑問。



あ、あとこの映画のよくないところは、
パッケージ。

何か青空に堤真一の疲れた顔。
なんやねんこれ。
何が伝わるんだこれで。
雰囲気も何も伝わらんじゃないか。

動画でいうサムネですよ、
映画のポスター、ティザービジュアルは。

これで観る、観ないを判断される。

絶対良くない、これは。
誰が考えたんだろ。
辛辣で申し訳ないけど、映画がいいだけにもったいない…。
こゆりこ

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