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マッドマックス:フュリオサのshoのレビュー・感想・評価

3.8
前作であるFRと同じ舞台設定なのに全く違う作風に仕上がっててすごい。
前作とは違った意味で新鮮で面白かった。

アゲアゲな前作の怖すぎる舞台裏を見た感じ。新しい面白乗り物やキャラも出てくるけど、徹底して軽い演出にはしない。
同じことは繰り返さない、エンタメに全振りしないという監督の矜持が見えてよかった。

FRを見た時は自分があの世界にいたら水に群がる水中毒の一般人かなと思ってたけど、今作を見ると下層に住むヤツらが一番怖い。
イモータンジョーとかの方がまだマトモに見えるから本当に不思議。狂った世界の中で一番マッドネスなのは誰か?というマッドマックスシリーズに通底する問いかけを改めて投げかけられたように思う。

絶望に打ち震え絶叫していたフュリオサの背景を知ることができるという意味で、FRを補完してより楽しめるようになる物語だった。
でも一方で、フュリオサの怒りは誰のものでもない、フュリオサ自身のものであることが明確に描かれると、FRの意味合いは少し変わってくるような気がする。
フュリオサの怒りは、パクチャヌク的な、こじれにこじれきった復讐心からくるものとして描かれていて、その意味で考えるとイモータンジョーへの怒りは相対的に小さいものに思えてくる。
また、あくまでもFRでのフュリオサの動機が故郷に帰るという約束を果たす為のものだったと考えると、良くも悪くもフュリオサの神格性が薄れてくるような感がある。
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