韓国発、新時代の「ザ・ドライバー」+「グロリア」か?
天才的なドライビングテクニックを持つ逃がし屋という意味では「ザ・ドライバー」「ドライヴ」「ベイビー・ドライバー」などと同じ系譜の映画だがドライバーが若い女というのが今どきだ。
しかもこの女が凄いのは、特別仕様にカスタマイズされた愛車ではなく、行き当たりばったりで手に入れた盗難車を瞬く間に手懐けてしまうのだ😅
組織から追われる子どもを連れて逃げることから「レオン」と対比しているレビューも見たが〝少年と大人の女〟という組み合わせで思い浮かべるのはむしろジーナ・ローランズが演じた「グロリア」だ。もっともこちらが握っているのは拳銃ではなくハンドルだが。
どんな依頼も完璧にこなすクールな女運び屋・ウナは〝脱北〟の過去を持つ凄腕ドライバー。演じているのは「パラサイト 半地下の家族」の美術家庭教師役が印象的なパク・ソダム。そのウナが、命がけで守り逃がそうとする少年・ソウォン役に、なんと同作でパク社長一家の息子役を演じたチョン・ヒョンジュンを抜擢するという粋な計らい😊
ソウォンが持つ300億ウォンが入った貸金庫の鍵を狙う悪徳警官やサイコパスな殺し屋、さらには秘密裏にウナを調査する国家情報院も巻き込み、命がけのカーチェイスが幕を開ける。
〈余談ですが〉
警察とは別ルートでウナを捜査する国家情報院のエリート女性捜査官を演じたヨム・ヘラン、悪人ばかり出てくる映画で数少ない善人の役だが、どこかで見たことのある顔と思って調べたら‼︎
何と昨日まで見ていた韓国ドラマ「マスクガール」では、復讐に燃える執念深き老母を演じていた人だった。同じ人物とは思えない変身ぶり。さすが韓国で〝100の顔を持つおばさん〟の異名を持つだけのことはある😅
〈更に余談ですが〉
国策としてエンタメに力を入れている韓国とは大きく水を開けられた感のある日本映画だが、中でもカーアクションに於いては雲泥の差がある。
これは車の性能の差でもスタントドライバーのテクニックが劣っているからでもない。映画産業に対しての国を挙げての協力体制の差に他ならない。
日本はとにかく規制が多く、市街地でのカーチェイスやクラッシュシーンの撮影は困難を極める。対して韓国では映画は国家産業との認識から各方面の協力体制が強く。一般道や市街地を使ったカースタントが格段にやりやすいのだ。
残念ながら日本のカースタントは、「西部警察」の時代で止まっているのが現実。今後はCGに活路を見出すしかないのだろう😢