微妙な評判なども目にしていたが、実際に観てみるとそんな印象はなんのその、普通に超絶面白い作品であった。
そりゃま、映画史のトップあたりに君臨すると言っても過言ではない前作と比べると、みたいなところは無きにしもあらずだが、そもそもあんなのは奇跡が何重にも絡み合って生まれ落ちたような作品なんだから、監督だってはなからあれを再現しようとは思っていないでしょう、と考える次第。
前作は、「作品の構造を極限までシンプルに研ぎ澄ませることで、怒涛のアクションシーンそれ自体がダイレクトにストーリーを構成・生成し続ける機構を作品内に内製化した結果、作品が我々の言語化が追いつかない速度で(文字通り)2時間ぶっ通しで走り続ける」というよー分からん境地に到達していたもの。
それに比べて本作はある程度しっかりストーリーテリングしていて、「バランス」という意味では前作よりよくなっていると思うが、前作はそのバランスの悪さが強みに変わっちゃってる変態作品につき、やっぱ前作と比較してうだうだ言うのはそもそものスタンスとして違う気がしてくるんだよな。
それでいて、本作のアクション描写も過去観たことがないタイプのやつをバンッバン放り込んで来ていて驚嘆する上に、マッドマックスの世界観が背景含めてしっかり作り込まれていることによるのだろうが、
前日譚として模範的というか、「えぇ!そういう設定だったんだ!」みたいに世界観の解像度を高く・厚くしてくれるところも多く、とにかく観ていて面白く、楽しい。
フュリオサを演じるアニャ・テイラー・ジョイの素晴らしさは言わずもがな、ディメンタスを演じたクリス・ヘムズワースもジャック隊長も、あらゆる登場人物がしっかり魅力的にキャラ立ちしていて、もうほんと、ジョージ・ミラー監督の力量には恐れ入りやす…という感じ。
つーことで、これは傑作と言って良いのではないでしょうか?
すんげえ良い映画体験させてもらいました。