オトマイム

トリュフォーの思春期のオトマイムのレビュー・感想・評価

トリュフォーの思春期(1976年製作の映画)
4.3
トリュフォーは子供が本当に好きなんだと思う。すべての子供たちをみつめる目が優しい。そして、リシェ先生はトリュフォーの代弁者だ。終盤、クラスの子供たちに向ける言葉。
「子供はどんなに自分の環境が嫌であっても自分で変えることができない、大人はそれができる」
「人は愛がなくては生きられない。君たちも子供に愛される大人になりなさい」…

彼は『大人は判ってくれない』が自伝的作品であることからもわかるように、辛い子供時代を過ごしている。だけど大人になった彼からは人間的な温かさやユーモアを感じる。彼は、自分のなりたい大人になろうとずい分努力したのだろう。そんな意味で、これは監督のメッセージがいっぱい詰まった作品だ。

同時に、これは非常にフランスらしい言葉だと感じた。フランスは大人社会。大人の話や場所に子供が立ち入る事は許されない。早く大人になりなさい、そうしたらもっと楽しいんですよ、という考え方が一般的なのだ。だから、ディナーに汚いバッグを持っていこうとした女の子がレストランに連れていってもらえないのは当然だったりする。

それにしても、フランスの子供たちのおしゃれなこと!Tシャツとパンツだけの着こなし、シンプルなワンピース。それだけでこのセンスの良さ。皆自分にいちばん似合う色や着こなしを知っている。
ビジュアルも内容も文句なしの傑作。