ロキ氏

ある人質 生還までの398日のロキ氏のレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
4.0
凄いドキドキする。
映画的な演出は恐らく極力押さえていて、限りになくそのままリアルに描いてるんだと思いました。

突然「おい!誰に許可なく撮ってんだ!!」と来て「えっ?!えっ?!えっ?!」と、あれよあれよという間に拉致られて「スパイだろテメェ!!」と拷問を受けて…

淡々としてはいるけど同時にテンポも良いので、写真家からの人質までの流れがあっという間でした。コレがなんか怖かった。


この映画自体はあらかじめ結末が分かってるけど、なんの前触れもなく起きる出来事に頭の整理が追いつかず急な不安が押し寄せるこの感じ。リアルでした。

解放されるのも本当アッサリしてて逆に怖い。

映画自体は2時間で解決するけど、実際は2013年〜2014年の398日もの間この生活をしていたのかと思うとよくぞ無事に帰って来れたとホント思わざるを得ない。

それは彼の家族も然り。
大富豪でも役人でも何でもないごく普通の庶民。
デンマークの政府の方針でテロリストとは交渉しないということで、頼ることもできない。

結果的に200万ユーロの身代金(※日本円で約2億6千万)を払うけど、この額を一年で集めたのも凄い。

もう少しここの資金集めを細かく見せてくれてもよかったかも!


単純ですが“平凡で退屈な日々”がいかに恵まれてるのかと感じる。

こういうの見るとSNSとかで見かける“行った奴の自己責任論”を思いだします。

こういう方々が居るから向こうの現状を知ることが出来るわけでもある。


今まで聞くことがなかったですが、人質救出の専門家が居てその方が国境を跨いで人知れず交渉し続けてくれてるのも非常にカッコ良く感じました。

最後のあの託された想いを語る所は泣きましたね。良い映画でした!
ロキ氏

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