FREDDY

ある人質 生還までの398日のFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

シリアで398日もの間、過激派組織ISの人質になるも奇跡的に生還した、デンマーク人の写真家ダニエル・リューが体験した実話をもとに制作された、ニールス・アルデン・オプレブ監督によるドラマ作品である本作は、デンマーク代表の体操選手に選ばれ世界ツアーを控えていたとある日に怪我を負い選手生命が絶たれ、第2の人生としてずっと夢だった写真家へと転身し、恋人のシーネとともにコペンハーゲンで新たな生活を始めたダニエル・リューが、戦場カメラマンの助手としてソマリア・モガディシュへと訪れ、現地の子供たちの活き活きとした姿を撮影したことで"戦争の中の日常を撮影し現状を伝えたい"という思いに駆られ、車を売り払い単身シリアへと赴きガイドのアーヤ、運転手のムハンマド、自由シリア軍の1人の兵士とともに国境近くの町・アザズで人々の日常をカメラに収めていたところ、国内情勢の変化によって自由シリア軍の許可証が無効となり、"イスラム国"設立のための資金調達を目的に誘拐ビジネスを活発化させていた、イスラム過激派の新興勢力にCIAのスパイではないかと疑われ身柄を拘束されてしまったことで強いられた、拷問と飢えに耐え忍ぶばかりの過酷な日々や、その中で育んでいった、同じ境遇にいた人質たちとの友情、そして誘拐に関してテロリストと交渉をしない方針を示すデンマーク政府の支援はおろか難航する身代金集めについて言及を受け葛藤する中、人質交渉の専門家・アートゥアの協力のもとダニエルを救出すべく奔走していく家族たちの姿を追った作品となっているのだが、やはりこれが実話であることには驚かされるばかりですし、ISの人質となったダニエル・リューをはじめとしたジャーナリストや活動家がどのような生活を強いられていたのか、その間に家族がどのような行動を起こしていたのかなどは当然ながら、テロリストに対する"各国の政策"というものにも目を向けさせられる内容となってるので本作から様々なことを学べました。そして単純に家族による救出劇や家族ドラマを描いたものではなく、人質たちの交流や友情にも焦点が当てられ、無事に生還し家族との再会に涙するというハッピーエンドに終わらず、最後の泣き所をアメリカ人ジャーナリストのジェームズ・フォーリーがダニエルに託した"家族への伝言"としたことも個人的には良かったですね。ダニエルの姉・アニタを演じたソフィー・トルプの演技も目に残るものがあった。ただ、きっと事件当時に飛び交った"自己責任論"というものが頭を過ってしまうでしょうし、違った側面から見てしまうと印象も変わってしまうのでは。
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