りっく

ある人質 生還までの398日のりっくのレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
3.7
実話ベースのポリティカルサスペンスであるが、過度にドラマチックに演出することを避けつつ、それでも2時間30分近くの長尺を感じさせないのは、人質にされた側と、彼を救出しようとする側の人間たちの感情を、具体的な描写の積み重ねと、主に編集の巧みさで一気に見せ切った作り手の確かな手腕があるからだ。

もちろん命の危険にさらされる人質たちのサスペンスフルな日々に目が離せない一方で、身代金を巡る誘拐する側の組織の論理や狙い、そして彼らのルールを把握したうえで救出に奔走する仲介役の役割や仕組みをきっちりと描くことで、とにかく期限内に身代金をいかに集めるかが重要であるかというサスペンスがもう一軸できることで、本作はより緊張感を高めることに成功している。
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