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チーチ&チョン/スモーキング作戦のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

4.2
【ハッパ一枚あればいい。生きているからLUCKだ。】
『死ぬまでに観たい映画1001本』はアメリカ目線の映画史本故、アメリカアンダーグラウンドでの重要ジャンル《マリファナ映画》作品からも選出されている。コメディアン、ミュージシャンであるチーチ&チョンがマリファナで常時ハイテンションな男のロードムービーを爆誕させ、これがヒット。シリーズ化された作品だ。意外と傑作らしいので観たのですが、確かにその通りでありました。

音楽大好きヒッピーことペドロは家出した。彼の目の前にはボインなお姉さんが!ヒッチハイクしているお姉さんを乗せたらびっくり!家出中の野郎だった。錯覚でボインなお姉さんに見えただけだったのだ。だけど大丈夫。ハッパ一枚あればいい。生きているからLUCKだ。彼らはハッパを吸い始める。大きな大きなハッパを吸ってハイテンション。警察官がやってきても御構い無しだ。徐々に近く警察官を間一髪で車を爆走させて去っていくシークエンスからこのノリと勢いの華麗さが映画のスパイスになっていることが伺える。

そして、警察官に職務質問されてもヘラヘラ笑い、ゲロりながらも陽気で、裁判所に連行されてもハッピーなこの二人組を眺めていると、観ている方も幸せになってくる。ハッパを吸わなくても、ハッパのもたらす高揚感を嗜むことができるのだ。そして無軌道な彼らの珍道中は、いつしか、排ガスから怪しい煙モクモク、尼さんの車にハッパ混入、ライブにゲリラ参戦といった常軌を逸した展開のつるべ打ちとなっていくのだが、人生なんてこんなに無軌道でいいんだと段々納得していく。

と同時に、我々の人生がいかに平凡退屈なんだという真実に切なくなってきます。

何故かワイドスクリーン構図、つまり大スクリーンで観ることを前提に作られたこのアングラコメディはそのめちゃくちゃさと、それとは裏腹に妙にキマったコメディ演出に魅了されっぱなしな作品でした。サイケデリックな実験映像だけでハッパを語るな!とチーチ&チョンはヘラヘラ語る。そんな作品でありました。
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