鈴木パンナコッタ

ドント・ブリーズ2の鈴木パンナコッタのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)
2.9
1作目の面白かった要素を再現しつつ、展開を大きく変えてきた点は独特だけど、前半と後半の舞台が徒歩圏内なの!?とか、心臓移植の描写が雑だったり、粗が目立つ印象。アクションでおじいちゃんの目が見えない設定がほとんど生かされていないのも残念。

1作目はわりと良作だったと思っていて、話が進むに連れて印象が入れ替わる点が良かった。
最初は共感できそうな強盗とかわいそうなおじいちゃんと思った両者が、狩られる強盗とスーパーおじいちゃんに変化。
が、激ツヨおじいちゃんが実は激ヤバおじいちゃんと判明すると、強盗の目的がサバイバルからちょっとだけ正義感に変化。後半に明かされるおじいちゃんの異常性は娘が殺されて被害者から加害者に転じたものだと示される。
善悪が入れ替わり、極限状況が続く展開は、間接的に戦争の異常性の表現になる。
ここに目が見えない特性を活かした攻防が加わり、他には無い緊張感のあるサスペンスが繰り広げられる。声を上げるどころか、心臓の鼓動すら危うく感じるような緊迫感があって、非常に面白かった。

続編にあたって1作目と全く同じ流れになるかと思いきや、かなり展開を変えた点は面白かった。それでいながら、対立する両者の善悪が二転三転する面白さも引き継がれている。
ただ、おじいちゃんの正体がある種ネタバレされた状態から始まるので、攻め側の目的をミステリーにするしかない。話の辻褄は合っているものの、おじいちゃんが常に受け身になるし、インパクトが弱いというか。
映像的には、序盤の長回しの緊迫感は良かったし、犬を殺さないことでおじいちゃんは異常者だけど根っこは悪いやつじゃないことを表現するくだりは笑えた。悪くはないんだけどなぁ。