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ハイゼ家 百年のsashaiceのレビュー・感想・評価

ハイゼ家 百年(2019年製作の映画)
3.8
約4時間、、完走しました。。
ドイツ人にとってナチスとは?東西分断とは?
東ドイツはナチスという負の遺産、シュタージ支配の暗黒期とどのように向き合ってきたのか。
ハイゼ家の人々の声に集約された東西ドイツ分断の歴史。その考察は現代からみた過去の克服にも及んでおり、中には東ドイツ社会主義の本質に迫る貴重な先人達の声が。
動画とかないので無機質な静止画にセリフが字幕で起こされる構成の一点張りで、単調な構成苦手な方には少々苦痛かも。しかしその単調さとは裏腹に呼び起こされる言葉の重みに衝撃を受けました。
ホロコースト、東西分断、シュタージによる支配などドイツの暗黒期とも呼べる壮絶な時代に翻弄されつづけたハイゼ家の人々の言霊があまりにもリアルで生々しく、誰かの言葉を借りて語られるのではなく生活の中で出る生の言葉だからこそ余計に心を動かされる。
ウドがロージーに言った「バカな共産主義のほうが僕より大事なんだろう」とか西側にいたから何気なく言えたことだけど、東を生きたロージーの葛藤を考えるといたたまれない。
あとは後半の考察は独裁国家の本質を考える上で重要な言葉がいくつもあった。特に「暴君は国民を啓蒙と知から遠ざけようとする。闇の中にいる下々の者に解放の光がささぬように」は現代の独裁国家諸国にも通ずる危うさが明確に述べられていてとても考えさせられた。
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