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セブンのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

セブン(1995年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この手の作品は好きなのにどうしてハマらなかったんだろう?
なかなか筆が進まず行き着いた問いがそれでした。そして気づきました。あぁ、僕はそもそもミルズの行為を肯定しているんだと。目には目をとか私刑に賛成している訳じゃあない。これは精神的な話だ。何の罪もない、しかも自分の最愛の人を手にかけた男を目の前にして、その復讐を果たさなかった場合、はたしてその精神は本当に気高いと言えるか?僕はそうは思わない。たとえそれが現代の法律に背こうが、その責任も含めて自分の精神に嘘を吐かないことが黄金の精神だと思う。だからミルズがサマセットの静止を聞かず、引き金を引いたことに関して特に驚きはなかった。つまるところこの映画が名作すぎて、他で散々こすられ考えてきた主題にその結末より先に辿り着いていたからだろう。逆に言うと、この映画を観て「なんでミルズがジョン・ドゥの思うがまま行動したのか分からない」という人とは友達になれないということだ。…そういうことじゃないか笑 そういう意味ではジョン・ドゥも彼の精神に嘘を吐かずに行動していたのかもしれない。しかし、絶対的に行為の悪が違いすぎる。いや、これは結局”相対”なのか。”だが、それが許されるなら、罪も、罰も、相対的なものになってしまう。(中略)いかなる理由があろうとも、悪いことは悪い。[1]”
うーん、ここがどうしても難しい。人情としては絶対にミルズは間違っていない(正しいとは言わない)。でもこれを許容してしまえばジョン・ドゥは…。と堂々巡りだ。『検察側の罪人』と同じく、法律の難しさと法規社会の有難みをひしひしと感じる。僕個人の答えは「黄金の精神を全うする」。でも、みんながそうするとは限らない。そうなったとき自分は地球にコロニーを落とさないか、社会を放棄してしまわないか、常に自分に問い続けねばならない。


参照
[1] MOKO, ”神への回帰と殺してもいい権利 映画『セブン』と七つの大罪”, 20 Apr, 2022, Novella, https://novel.onl/seven/
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