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セブンのhatraのレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
4.9
初見時、凄すぎて『映画』というものの見方が変わった作品。
今「人生で一番の映画は?」と聞かれたら『セブン』と答える。
正直もう生態としての「人間」を描いてるレベル。
動物ドキュメンタリー番組の「ホッキョクグマ」「チーター」の並びで「人間」回で『セブン』をそのまま流していいくらい「人間」についての物語。

生涯を正義に捧げながら厭世的な老刑事。
前途有望で自信と活力に溢れる若手刑事。
新しい命を身籠り幸せであるはずの女性。
そして自身が人々を導く預言者かのように、その行いは世直しかのように、現代人の罪に警鐘を鳴らす連続殺人犯。
一週間、七つの大罪、七つの殺人。街に降り続いた雨、荒野に晴れ渡る空。

全てが絶妙で完璧なバランスになっていて、
この話自体が神話や聖書の一編の様ですらある。

誰がどの選択をとったか、なぜその人物でなければならなかったか、見届けるものの胸に何を残すのか。そして、これを観た私たちは明日から何かが変わるのか。全員がジョン・ドゥに試されている。
この映画よりも恐ろしく、美しく纏まっている映画を未だに知らない。
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