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セブンのFHTのレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
3.7

この作品のテーマは対比ではないだろうか。それにうまく"7"というものを絡ませて面白くしている。

ミルズとサマセットのコンビ。この2人の対比が招いた悲劇。

ある日、奇妙な連続殺人が起こる。
殺人現場に残されているメッセージを推測していくと7つの大罪に基づくものだった。

つまりこのまま犯人を捕まえないと7人の犠牲者が出てしまうと言うことだ。

チームとなった2人は、うまく言っているようで見えない部分で多少のズレを感じていた。
ミルズは犯人を逮捕するという直感的思考。0 or 100だ。
一方サマセットは犯人に繋がる書類を作成する理論的思考。1〜100だ。
サマセットがこの事件に関わりたくなかったのは理論的に定年までの期限でこの事件を解決するのが不可能だったからなのか。
◉サマセットは後7日間で定年退職だ。この"期限"というものが最後の結末を生み出したのではないだろうか。

水曜の夜、サマセットがミルズの嫁に呼び出されて、子供を産もうか迷ってる話をするシーンがある。ここはサマセットのバックボーンを伝える為のシーンかと思うが、こう繋がるとは。。!

金曜の夜、サマセットとミルズがバーで飲むシーンがある。ここがかなり核心に迫る事を言っている。
サマセットが「無関心が美徳という世の中にうんざりしてる」と言い ミルズが「あんたも一緒だろ」という。
そしてサマセットは「否定はしない」と言った。
この言い方は今は無関心だと自覚しているが、昔はミルズのようにヒーローになりたい犯人を逮捕して活躍したいという気持ちがあったのだろう。
ここでは人間としてどう思うか?を問う発言が多いです。
警察官としてではなく、人間としてどう思うか。
悪魔ではなく、人間としてどう思うか。

この夜それぞれのモヤモヤの対比が露骨にシーンで出てくるので面白い。ミルズはモヤモヤを頭から取り除きたいが為に嫁に無感情な "愛してる" をつぶやき抱きついてモヤモヤを誤魔化している。
サマセットはナイフでダーツをし、自分のモヤモヤを頭から取り除こうとしている。

そして、衝撃のラスト。

あのダンボールの中は?
なぜサマセットはミルズを止めれなかったのか?

おそらく、ダンボールを見た時点で、この事件は今日終わりを迎えると恐らく過ぎったのだろう。
そしてこれで事件も解決し綺麗に引退できるという、サマセットの人間臭さがラスト滲みあふれ出ます。

いろんな見方が出来るのでこれが正解でない事は知ってますが、これも一つの結末です。


一つ好きなシーンがありまして。。

サマセットがミルズに「今まで銃を撃ったことがあるか?」と聞かれた時「一度ある」と答えた後、その詳細を語るのだけど、犯人の名前だけが出てこなかった。
その時の演出 犯人の名前を思い出すシーンほんの数秒に車の窓から太陽の光が入る。 これは偶然なのか演出なのか分からないが演出が良い。
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