ユ・アイン主演の近作にハズレなし。とあるきっかけで誘拐犯となってしまった口がきけない男と誘拐された少女の話を描く。微笑ましい卵売りの親子と見せかけての、いきなりのバイオレンス描写にド肝を抜かれるが、ずっと韓国社会の闇を感じさせながらも、ところどころに、コメディ要素も。
誘拐(?)するに至る複雑な背景は描かれつつも、いわゆるストックホルム症候群的な都合の良い話になったら、それはそれで嫌だなと思っていたら、しっかりと罪と罰が描かれ、全体としては『パラサイト』などと同様、貧富の格差という大きな問題が横たわっているようにも見えた。まさしく"声もなく、"。
しかし、これまた女性監督なのか…。オリジナル脚本のデビュー作だって…。素晴らしいな、韓国映画界…!