普段は卵の移動販売をしているが、その裏では犯罪組織の下請けで死体処理をしている口のきけない青年テイン。相棒のチャンボクと仕事をする日々だが、ある日誘拐されている少女チョヒの身柄を預かる事になってしまい、思わぬ事態へと進んでいくサスペンスドラマ。
このストーリーに韓国映画。間違いなく重たそうな作風だろうね…と見る前まで思っていましたが、意外や意外。コミカルな場面や心が和む場面もちょいちょい挟んでいるので、予想以上に見やすい作品でした。
オープニングから吊り下げられた男性にその周囲でビニールシートなどが広げられ、「あ…ヤバそう…」的な空気が流れながらも、主人公たちは実行犯ではなく、凄惨なシーンは直接映されません。この時点でこの作品が一味違うなと思わせてくれます。
突然降って湧いた誘拐被害者の少女チョヒの預かり。断れずにあたふたするテインとチャンボク。とりあえずテインの自宅で預かり、テインの妹であるムンジュとの出会いもあり、チョヒは束の間4人と家族のような時間を過ごす。
一連の出来事を通じて「誘拐」「家族の人間関係」「人身売買」「社会の底辺で生きざるを得ない人間」などの社会派なテーマが描かれます。
そんなテーマを扱いながら口のきけない主人公という難役を演じたのはユ・アイン。劇中ではマジで一言も喋らず。表情と仕草でテインを表現しきった彼の演技力の高さは是非味わってほしいですね。
サスペンスありドラマありコメディありだけど、雑多な感じにはならず、むしろ程よい雰囲気で仕上がった作品だという印象。ドス黒いイメージとはまた違う韓国の社会派サスペンスドラマ。気になる方は是非。