ちゅにちゃん

ドライブ・マイ・カーのちゅにちゃんのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.2
舞台俳優の主人公が、妻の死後広島に赴き演劇の舞台演出を行うも、生前の妻の不貞に悩み続ける中、芸能事務所が用意した専属女性ドライバーと会話を交わすうちに自身の過去と向き合っていくヒューマンドラマ。チェーホフの「ワーニャ伯父さん」の舞台演出に合わせて主人公の内面を映しながら物語がパラレルに展開していく所が面白い。主人公が亡き妻の問題に正面から向き合って来なかった後悔と妻への郷愁が、専属ドライバーの抱える過去の苦悩と重なり合って浮き彫りになる演出は見もの。どんなに後悔しても過去は戻って来ない。「苦悩を抱えながらも生き続けていくしかない」というチェーホフのセリフを借りて自らに語りかけるラストがとても印象的だった。