ic

ドライブ・マイ・カーのicのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.9
(偉そうなことを言ってしまうけれど)原作を上手く咀嚼して、若干ちがう内容やシーンも増えているのに世界観を壊してない。それが素晴らしかった。物語の真髄を丁寧に描いたという感じで。

長い映画だったけれど、またみたい。

昔、家族に「あなただけは味方になってくれると思っていたのに」と言われたことがある。自分が状況を見て相手の肩を持つと判断した行動をとった時に浴びせられた一言。その時に、事実どうこうが重要でない場面もあるのだと、悟った。それが正しいか正しくないかではなく、そもそも自分が何を物差しに判断するのか。そこからが大事だったりする。友人であれ、身近な家族であれ、親密な恋人であれ、他人は他人で分かり合えない部分は必ずある。自分のことさえ理解し切れてるか分からないのに、不思議とパートナーを理解しようとする。
そして、真実かどうかではなく相手の言葉を信じるか信じないか、なのかもしれない。

悲劇を乗り越えて、ごく普通の夫婦を演じようとしたのは、オトだけではないはず。家福も、見て見ぬふりをすることで、日常を壊すことを避けていた。

そして、そうすることで何より自分が救われるはずだ。本当の自分でなく、誰かを演じることで。仕事もスムーズに夫婦仲良くしている、何に物足りないというのか。でもどこかに穴があってそれを埋めるものが、必要だったのではないか。


見るたびにちがう答えが見つかりそうな気がする。
ic

ic