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ドライブ・マイ・カーのりのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

村上春樹の短編3つの抽出と融合が秀逸だった。
西島秀俊が何かのインタビューで、全く同じ経験がなくても誰でも経験したことがある痛みについての話(意訳)と言っていた通りだと思う。多くの人が家福や渡利と同種の痛みや喪失と共に生きていて、それとどう向き合うかという過程をとても丁寧に描いていた。
撮り方とか台詞とか構成とか、とにかく演劇的だった。進むにつれて、劇中劇の『ワーニャ伯父さん』と本編との交わりが深くなり混ざり合っていく。村上春樹の短編より、ワーニャ伯父さんの方が存在感が大きい箇所もあった。もはやワーニャ伯父さんの翻案。濱口監督の舞台演出が観てみたくなった。
映像の温度感が伝わってきたり、高槻の長台詞のシーンで本当に高槻の目の前にいる感覚になったり、没入感がすごい。撮り方と音響だと思う。
ワーニャ伯父さんの最後のシーンがとても良かった。
悪い意味で村上春樹と濱口監督の女性表象は親和性が高い。
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