テンテンちゃん

ドライブ・マイ・カーのテンテンちゃんのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.8
嫌いなタイプの映画
というより文学作品が好きではない("だからどうした"ってなるから)
全編を通して何とも言えない違和感を感じたので少し掘り下げてみた

まずこれは人間ドラマではない
人が出てきて感情がぶつかってそれぞれの考え方があって・・・なんてものはない
ぶつかりそうでぶつからない、そんなのがずっと続いていく
そこで、ああ、逆なんだと気が付いた
とある人物の、とあることから得られた教訓、こうすればよかったという後悔がまずあり、それを表現するために人物が配置されセリフが用意されている
その時この人物ならどう考えなどといった感情などない
そう、素読みの台本の様に
これは一人の男の、どんな結果も受け入れていればよかったという"後悔の表現"の映画だ
"人間ドラマ"の映画ではない
ちょっと見かけないタイプの切り口の映画

そう考えてたどり着くのはあのラスト
唐突で最初はなんのこっちゃと思ったが
全ての登場人物は一人の男の後悔と折り合いの表現のための配置だったと考えれば納得だ
実在の人物ではなく苦悩のメタファーと言えばよいのだろうか
原作には無いらしいから映画の観客向けに読み解くヒントとして追加したのだろう

色んな所のレビューをいくつか見たが、みんな表面的なドラマの感想に終始していたので
深読みしすぎかとも思ったが感想はそれぞれらしいので、私はこれにしておきます
しかしやっぱり文学系は"だからなんだよ"ってなるなぁ