不思議な映画でした。
まず、俳優達から伝わってくる情報が凄まじかったです。何かを背負ってる目、悲しみを抱えた背中。
そして、なによりも、俳優達の声。必要最低限の表現で全て伝わってきました。映画の中の家福メソッドの如く、いらんものを削ぎ落として削ぎ落として大事に台詞を言っているからこそ出来る技なのかなと。
この映画の中で、ずっと俳優達の間で何かが起きてたんだと思います。皆さん、凄まじいお芝居をされてました。
そして、やはり印象に残っているのは劇中劇。私は劇中に出てくる作品達は内容を細かくは知りませんでした。んでもって、映画を観ている最中に全てを理解できるほど私は頭も良くありません。
でも、今回はわかったような気がしたんです。劇中の登場人物たちの心情なんかが。すると、劇中の作品たちと現実世界があらゆるところでリンクして観えてくる気がするんです。なんか不思議な感覚でした。秀逸な脚本・演出だなぁと。
そもそも、村上春樹の本は以前に何冊か読んだことがありますが、まぁ難しい。「ん？」となって何度ページを戻ったことか。だから、村上春樹原作の映画で置いていかれずに観れたことが驚きでした。観客が想像できる考察できる余白が作られていたのが良かったです。
とにかく、あまりに村上春樹と濱口監督の相性が良かったです。
物語、カメラワーク、芝居、全てに置いて洗練された映画でした。
お芝居したい。
